タンクの中で”海を再現”

一方、池谷さんのノリ養殖は、1メートル四方のタンクの中でノリが育つ環境を作り上げました。

入っている海水は1トン。

そこに胞子をつけたロープを沈めてエアーポンプで水の流れを作り出すというもので、いたってシンプルな仕組みです。

そして、タンクに巻き付けられた電球で、ノリが好む光の波長を与えています。

池谷さんが一番こだわったのが栄養です。

野草からこだわりの栄養が

池谷裕文さん
「ノリに一番いい大好物で、本当に普通に市販されている化学肥料と変わらないくらい栄養素があります」

ベースになっているのは野草です。自生するドクダミやヨモギなどを搾った汁を使います。

その搾り汁と井戸水、植物性のタンパク質や自然由来のミネラルなどを加え、1週間かけて発酵させます。

さらに、土や砂などでろ過を繰り返し、2週間かけて完成。

これを毎日500ミリリットル与えているんです。

この仕組みで、1つのタンクから1か月かけて、3キロのノリを育てることに成功しました。

”どこでも養殖できる”技術を独学で研究

さらに、施設を構えた場所にも意味があると言います。

池谷裕文さん
「ちょっとこの住宅街でやっているのはわざとやっていて、どこでもできる再現可能だっていうことが産業的に広がってくれると思う」

池谷さんは、民間の研究所でノリが不作に陥ってる現状を知り、独学で研究を続けてきました。

池谷裕文さん
「僕はアレルギーがすごくてベジタリアンなんです。海藻をすごく食べないと体がもたないので、僕らが陸上養殖で救わなければ絶滅しちゃうと僕は思っていて、その絶滅って地域も絶滅しちゃうと思っているんですね。もし海藻全てを陸上養殖に進化してあげられなくても次の世代に引き継げるかな」