事故車両は「現場に残して」遺族の切実な願い

この方針に、遺族の上田弘志さんは次のように話しました。

(上田弘志さん)「若い社員にしても事故現場に行って、ここに電車ぶつかったんやなと見て、すぐに車両を見る。そういう環境のほうがお腹の中に事故のことが入っていくと思うんですよ。違う場所で違う日に車両だけ見て、現場だけ見て言うても、もうひとつピンとこないと思う」

これまで精力的に活動を続けてきた弘志さんはことしで70歳。体調がすぐれない日も増え、意志を三男・篤史さんに引き継ぎたいと話します。

(弘志さん)「若い社員と話をしていて聞いたら、年寄りの話ばかりじゃなく、子どもの話を聞きたいかと聞いたら、聞きたいと。事故からきょうまでの生活にしても、親と子どもの思いは違う。そういうところを同年代として話をしたいと」

(篤史さん)「そう思ってくれているのはうれしいことやし。どういう気持ちでJR西日本に就職しているのか確かに気になるし、安全をどう考えて普段働いているのか、確かに聞きたいと思う」

事故から20年。どのように悲惨な事故の記憶を受け継ぎ、安全な社会の実現に向けて未来にバトンをつなぐのか。遺族の模索は続きます。