心の変化…大人にできること
不登校になる子どもたちは、その理由をなかなか周囲に話せないことがあるといいます。“今なら少し背中を押せば行けるかもしれない”という対応は、逆に子どもを追い詰めてしまう危険があると平井さんは警告します。

「子どもたちは、親に心配をかけたくないという思いが強くあります。そのため、いじめや不安を感じていても、それを口に出すことができないのです。だからこそ、『学校に行きたくない』と子どもが言ったときは、本人にとって大きな勇気が必要だったということを、大人は理解する必要があります」
子どもたちが不登校になることを防ぎ、心のSOSに気づくためには、日頃からの関係づくりが重要です。
平井さん:
「日常的に子どもと向き合う姿勢が大事です。大人が聞きたいことを聞くのではなくて、子どもが話したいことに耳を傾ける。その時間を作る。それだけで十分です」
また、チャイルドラインを“話す練習の場”として使ってほしいと呼びかけています。
「チャイルドラインは、午後4時から9時まで電話(0120-99-7777)でつながります。ホームページからはオンラインチャットも可能です。説教はしません。『何を話したらよいかわからない』という言葉でも大丈夫です。困っていないときでも、うれしいことがあったときでも話しに来てほしいです」

「今の子どもたちは、話すこと自体が苦手になっています。ささいなことでも、自分の気持ちを口に出す。そういう“話す練習の場”として使ってください」
5月は、子どもたちの心が大きく揺れ動く時期です。不登校は決して甘えではなく、心が発するサインです。「無理に登校させる」ことではなく、『なぜ行けないのか』を丁寧に理解し、寄り添うことが大切と言えます。