ゴールデンウィーク明けの5月、新生活の緊張が一段落する頃に、体調を崩すなどして、学校に行けなくなる子どもが増える傾向にあります。いわゆる「五月病」の一端として見られる不登校は、なぜ起きるのでしょうか。子どもたちの心の変化とその背景、そして大人に求められる対応について、専門家に聞きました。

不登校の背景にある「五月病」

長い休みのあとに気をつけたい「五月病」。新しい環境や生活リズムの変化によるストレスが原因で、心身に不調をきたすことがあり、誰にでも起こり得ると言われています。

大分大学医学部精神科 平川博文准教授:
「五月病は正式な医学用語ではありませんが、4月からの環境の変化に適応するなかで生じたストレスが、ゴールデンウィークを挟んだことで一気に表面化する現象です。学校や職場に行きたくない、気分が落ち込む、体がだるいといった症状が出てきます」

連休で緊張の糸が切れたとき、「もう学校に行きたくない」と感じるのは、自然な反応とも言えます。

チャイルドラインおおいた代表 平井貴美子さん:
「進級や進学によって、新しい環境に馴染もうと一生懸命だった子どもたちが、連休中にほっと一息つくことで、本音が出てくるんです。『学校に行きたくない』『友達と馴染めない』という声が、大型連休や夏休み、冬休み明けに多く寄せられます」

不登校になる理由のひとつに、人間関係の不安があります。子どもたちの悩みや不安を受け付ける相談窓口「チャイルドラインおおいた」の代表を務める平井さんは、クラス替えや友人関係の変化によって孤独を感じる子どもが多いことを指摘します。

「新しいクラスに馴染めなかったり、すでにグループができていると感じたりして、強い疎外感を抱いてしまう子どもがいます。『今までの友達との関係が終わってしまった』と感じることもあります」