宗教を超えて…世界への影響力

まずローマ教皇の存在から見ていきましょう。第264代はヨハネ・パウロ2世教皇(ポーランド出身)。第265代はベネディクト16世教皇(ドイツ出身)。ローマ教皇はカトリック教徒14億人のトップであり、バチカン市国の国家元首でもあります。先日亡くなった第266代フランシスコ教皇(アルゼンチン出身)は、コロナ禍においても、個人主義が蔓延する世界において、全人類共通の課題に目を向けるきっかけとなるようなメッセージを発しました。2015年にはキューバとアメリカの国交正常化に尽力するなど、国際政治にも大きな影響を与えてきた存在です。

コンクラーベ「密室選挙」の伝統

それほどの影響力をもつ教皇を選ぶ選挙「コンクラーベ」とは、ラテン語で『鍵をかけた』という意味がある密室選挙。かつて皇帝よりも権力を持っていた時代もあったため、外部からの影響を排除して、公平な選挙を行うために秘密選挙という方法が採られたとされています。

カトリックは教皇の下に枢機卿が約250人、大司教が約5400人などとされていますが、投票権を持つのは80歳未満の枢機卿で、今回は約133人に投票権があるとみられています。厳密には、枢機卿以外の誰もが候補者となり得ますが、実質的には枢機卿の中から選ばれています。日本人の枢機卿も2人います。

複数回の投票が行われる可能性

投票はシスティーナ礼拝堂で行われます。1日で決まらない場合もあり、その場合はサンタマルタ館で食事や宿泊をします。携帯電話の使用は禁止、外部との連絡は遮断されます。無記名投票で、3分の2以上の得票を得ると教皇に選出されますが、誰も3分の2以上の票を獲得できない場合は、投票が繰り返されます。その際は外に未決定を示す「黒い煙」が上がって、再び投票が繰り返されます。

現地時間のスケジュールは5月7日 午後4時半以降にシスティーナ礼拝堂で1回目の投票。夕方に最初の煙があがります。8日には午前に2回投票があり、煙は正午ごろ1回上がる予定です。午後0時30分にはサンタマルタ館で昼食。午後に2回投票があり、夕方以降1回煙が上がる予定です。前回は5回で決まりました。今回は果たして何回目で決まるのでしょうか。