終戦から80年の今年、99歳になった大学の名誉教授がいます。長年、調理学や栄養学を研究してきた“食の研究者”は、子ども時代・学生時代を“戦争とともに”過ごしました。同級生の死、食糧難、空襲…戦時中に壮絶な経験をしたからこそ実感した「食の大切さ」を、語ってくれました。
高知県立大学の名誉教授、松﨑淳子(まつざき・あつこ)さん。長年、調理学や栄養学の研究を重ね、多くの本を執筆し、土佐の郷土料理や食文化を継承する活動にも取り組んでいます。

「食」に精通する“研究者”の松﨑さんですが、99歳になった今も、毎日料理をします。この日も台所に向かい、野菜を切る音や、揚げ物をする心地よい音が、キッチンに響きました。
◆松﨑淳子さん
「夕方の4時ごろに料理を作り始めて、その日の晩の分と、明くる日の朝・昼の分も作るわけ」
イスに座って、毎日、夕方から3食分の食事を作るという松﨑さん。この日も手際よく料理を進め、その様子を撮影していると、おいしそうな匂いが漂ってきました。
◆記者
「料理を『作る』のと『食べる』のは、どっちが好き?」
◆松﨑淳子さん
「両方好き!(笑)」
優しくはにかむ松﨑さんですが、子どもの頃から戦争とともに生活を送る、壮絶な経験をしてきました。