4月、福島県で開催された郡山シティーマラソン。
30回を超えるこの大会は小学生の部に始まり、男女ハーフマラソン、車いす一般の部、さらには家族で走る親子の部などあらゆる部門が設定された大規模なマラソンイベントです。
多様なレースで盛り上がる場内で競技用の車いすでエントリーしたのは及川さん、一人でした。

及川さん
「車いすは東北の大会が少ないので一人でも出ないと。来年なくなるかもしれないので…。自分で落ち込んでしまったりとかけがをしたりしても自分ひとりで考え込まないこと。交流の場もスポーツを通じてできる。そうすると生活レベルも上がっていく」
事故による障害という試練の先にたまたま出会った車いすマラソンが未来の希望となった及川さんは、障害の有無に関わらず一人でも多くの人にこの競技を知ってもらいたい、それが自らの使命だと考えています。
競技用車いすの部はたった一人のランで終了しました。
しかし、沿道から自然に沸き上がった声援と拍手が及川さんにとっては大きな収穫でした。
及川さん
「私の走りを見て誰か始める人が一人でも増えてくれれば。一人でも走ることができるのであれば走りたい」

タイムや順位だけが全てではないマラソン、出場者にはそれぞれ走る目的がありそれぞれゴールを目指す理由があります。
全ての人が挑戦できる社会を、及川さんは今後も競技に挑み続けます。
車いすランナー・及川幸司さん(57)
「同じ仲間を見つけることが一番大切。その仲間同士で情報交換できて、こういうことができるよとアドバイスもできるので、人の支えとなることで自分のやりがいにもつながっていく」