「塀を作るぐらいなら、ほかに居場所を作ってほしかった」“浮き庭”に集まる若者

万博の開幕直前に居座り防止の塀が設置された、大阪・ミナミの“グリ下”。かつて、この場所にいたという若者は…

若者「まあ集まりにくくなったとは思いますね」
記者「ここにいた子たちは散らばって行ったイメージ?」
若者「そうそう」
記者「どこに行っているんですか、いま」

若者たちの新たなたまり場は、“グリ下”から400メートルほど離れた場所に存在していた。

記者
「いますね。若者が数人、座り込んで話し込んでいるという状況」

早速、話を聞くと…

記者「昔はグリ下集合だったのが、今はここ集合に?」
若者「そうですね」
記者「ここは何と呼ばれている?」
若者「“浮き庭”。たぶん水に浮いているから」

若者たちが“浮き庭”と呼ぶエリア。周辺に外国人観光客の姿はなく、ひっそりと静まり返っている。

“グリ下”に塀が設置された後、新たなたまり場として定着しつつあるという。若者たちは…

若者
「まあ、キモイよね。わざわざ“奪う”みたいな感じで、塀を作ったりするのは本当にやめてほしいと思いました」
「なんでそんなんするん?みたいな。余計、居場所なくなっちゃうんじゃないかなと思います」

それぞれが複雑な事情を抱え、街をさまよっている。

若者
「虐待されていて、居場所がなくて、学校も行けなくて、コミュ障で周りの子となじめなくて、勉強もできないからいじめられて…みたいな。塀を作るぐらいなら、ほかに居場所を作ってほしかった。そのあとで良かったんじゃないかって思っていますよ、私は」

記者「ここにも塀ができる可能性はあるじゃないですか」
若者「そうですね」

記者「また違う場所を探して、さまよう?」

若者
「それじゃないですかね。だってみんな居場所がなくて、助けを求めてここに来ているんじゃないですか。ただ騒いで迷惑をかけたくて、ここに来ているんじゃなくて、助けを求めて来ているから」

10代半ばから、20代前半の男女が入れ代わり立ち代わり“浮き庭”へやってくる。その光景は、私たちが3年前に“グリ下”で見たものと同じだ。

記者
「大阪府警の私服警察官が、新たなたまり場に補導に来ました」

警察も“浮き庭”の存在をすでに把握しているようだ。

しかし、若者たちは何度補導を受けても、この場所に戻ってくる。まさに「いたちごっこ」の様相だ。