大人への不信感むき出しの若者たちが集った“グリ下”

塀に覆われる前、“グリ下”には腰かけることのできるスペースがあった。
コロナ禍の余波で観光客の姿もまばらだった2022年8月、私たちが取材に訪れると、家や学校に居場所がないと訴える若者たちが大勢集まっていた。

若者
「実家に帰ると殴られる。だから家出たし、友達の家にいるし。それでも捜索願を出されたこともない」
「家庭環境、最悪じゃない人いないよね?だいたい虐待とかあるじゃん」
一方、こうした若者たちが巻き込まれる事件も頻発。
2024年7月には、少女が男らに北陸地方へ連れて行かれ、売春をさせられる事件もあった。
そうした背景もあり、警察による補導も連日、行われていたのだが…

若者
「もうグリ下に関わらんといてほしい、大人。ここに集まるのが間違いなのは、分かっているんですよ、みんな。でも集まれる場所がここにしかない。ほんまに居場所」
大人への不信感をむき出しにする若者たち。“グリ下”にあったのは、似た境遇を持つ者たちの「緩やかなつながり」だった。

だが、あれから3年。塀の設置以降、“グリ下”の景色は一変した。若者たちの姿は、ほとんど見当たらない。彼らはどこへ行ったのか。