今後の展望:専門家は「時間稼ぎ」を提言 しかし政治日程が交渉を急かす可能性も

ディールの行方を握るのは、アメリカの国内情勢かもしれません。同志社大学大学院の三牧聖子教授は、「いまアメリカ国内の経済不安はここ20年で最も高まっている」と指摘しています。アメリカ国内ではトランプ関税で不満が高まっている、それでも強権的に進めているという状況があるようです。
いっぽうFOXニュースがトランプ政権の政策ごとの評価を調査(4月18~21日)したところ「関税:評価する33% 評価しない58%」「外交:評価する40% 評価しない54%」「国境対策:評価する55% 評価しない40%」となっています。

そして三牧氏、木内氏とも「この交渉は急がない方がいい」と見ています。三牧氏は、国内で批判が高まれば、アメリカ側が交渉の手を緩める可能性を指摘。野村総合研究所の木内登英氏も、アメリカ国内で関税による物価上昇への反発が強まる夏から秋頃まで「時間稼ぎ」をすべきだと提言。その時期になれば、アメリカ側が関税の見直しに動く可能性があると見ています。
こうした専門家の見方について、ジャーナリストの武田一顕氏は、「確かにそうなんだけど、外交はどうしても焦ってしまう。」と指摘、アメリカでは来年に中間選挙を控え、日本では都議会議員選挙と夏の参議院選挙が予定されていて、さらにこれらの間にカナダでG7サミットが開催されるため、それまでに何らかの成果を出したい」と追い立てられる可能性があるとしています。
木内氏は、仮に関税を受け入れた場合の日本のGDPへの影響は【0.5~0.8%減】で、アメリカの要求通りに対日赤字8.6兆円が全て解消された場合は【GDP1.4%減】となるため、「結果、関税を受け入れる方がマシ」との見方も示しており、今後の交渉の行方が注目されます。















