災害時で鏡がなくても… ブラインドメイクの可能性と課題
上村彩子キャスター:
メイクには工程がたくさんあり、日々修行です。大きな鏡、そして手元の鏡といろいろ見ながらやるので、難しいんですよ。だからこそ鏡を見ないで、吉本さんのように細かいところができるのはすごいです。
喜入キャスター:
もし鏡がなかったらどうですか?
上村キャスター:
考えられないです。

喜入キャスター:
私も髪をセットするとき、鏡はかなり頼りにしていますが、鏡を使わなくていいブラインドメイクの技術は、視覚に障害のある方以外にも役立っています。
たとえば老眼の方は、鏡を見ようとすると、老眼鏡をかけないといけません。かけた状態だと目元のメイクができないので、そういった方もブラインドメイクの技術を習得しているそうです。
山田先生は、災害時で鏡がないときや、もしくは停電したときもメイクができるのだと、ブラインドメイクの可能性をお話されていました。

上村キャスター:
吉本さんはとても手さばきがすごかったのですが、どれぐらい練習したのでしょうか?
喜入キャスター:
4か月毎日練習して、メイクした写真をお母様に送ってチェックしてもらっていました。山田先生とのレッスンはだいたい1か月に1回、2時間程度のものを4回行ったそうです。
先生は生徒の代わりの目となって、どこにムラがあるのかしっかり丁寧に指導しているのですが、こうしたブラインドメイクを教える化粧訓練士という方が、まだ足りていない現状があるそうです。

上村キャスター:
喜入さんはなかなかわからないかもしれませんが、メイクが上手くいった日は、とても嬉しくなります。自分に自信が持てますし。
でも、だからこそ「きょうのアイシャドウ、色が似合ってるね」などと褒めてもらえたら嬉しいですし、もしメイクがよれてしまっていたら、それも教えてもらえるとすごく嬉しいんですよね。
喜入キャスター:
仮に気付いたとしても、なかなかちょっと言いにくい世の中というか、あとは誰に言われるかも結構大事じゃないですか。
そういう世の中ですが、吉本さんはこのようにお話されていました。

「私たちは、人から言ってもらって初めてメイクが上手にできていること、綺麗になっていることが分かる。正直に言ってくれる人の存在はとてもありがたい」
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撮影 出町紗希
音声 吉良絵里菜
編集 庄司尚慶
協力 小山久瑠実、吉田謙治
取材・構成・ナレーション 喜入友浩