長野県内では年間2万5000頭のシカが駆除されています。
駆除されるシカの肉の有効活用への挑戦。
エサ代の高騰に直面する動物園の救世主としても期待されています。

生物資源利活用研究所 竹下毅代表:「とにかく多くの部位を商品化することが大事。耳とかこのままワンちゃん食べる。アキレス腱がすごく人気で、なくなったので代わりに首に固い腱があるので腱ジャーキーを開発した。なるべく多くの部位を捨てないように商品にしようとやっている」
小諸市で9年前からペットフードの開発・販売を手掛ける竹下毅さん。駆除されたシカの肉を有効活用したいと始めた事業です。
竹下毅さん:「どういう行動をするかを見るのが好き。例えば護岸工事をやったら今まで棲んでいたタヌキやキツネが、次はどこの場所で棲むのかというのを動物に発信機をつけて行動を追跡したり、そういうことばっかりやってました」
宮崎県出身で大学時代から野生動物の保全について研究してきた竹下さん。2011年度に小諸市の職員となり野生鳥獣の保護管理の専門職を13年間つとめました。
シカの駆除に取り組んできましたが、そのほとんどが、埋められたり、焼かれたり、捨てられていく現状を目の当たりにした竹下さん。商品化することで有効活用できないかと解体加工施設の建設を発案しました。
竹下毅さん:「燃やすお金も、穴を掘るお金も基本税金。人間の都合で殺して、人間の都合でお金を払って燃やす、埋めるというのは本当にゴミ扱い。果たして本当にそんなことを人間はやってていいのか」

目をつけたのが食用よりも需要が見込めるペットフードです。
ミンチにした肉に必要な栄養素を混ぜあわせるというシンプルな製法ですが、鮮度と安全性にこだわり、商品開発に取り組みました。
大学に依頼し寄生虫の有無や必要な栄養素などの研究を行っているほか、放射性物質が含まれていないか測定も実施しています。
去年、会社を立ち上げ、ネット販売やふるさと納税などを通じて全国にファンを広げ、昨年度の売り上げは4900万円余り、年間およそ1500頭のシカを活用できる体制を作りあげました。