限界集落の空き家をリノベ

上関町で見つけたのは南に海を望む高台の住宅で、五右衛門風呂も残る築100年以上の古民家でした。染川さんが1人でリノベするのはこれが5軒目です。元の家主は、町内の大谷利夫さん。1人暮らしの母親が亡くなり解体するつもりでしたが、もったいないからと活用してくれる人を求めていたところ海の見える空き家を探していた染川さんの目にとまりました。

大谷利夫さん(74)
「浜に行ってサザエなんか夏に持って帰ったら、おふくろからもうサザエ持って帰っちゃいけんって言われよったね。ほんと魚でもなんぼでも釣れよったし」
大谷さんが小学生のころは同級生が80人いて、家の隣には商店もありました。しかし今ではこの集落も空き家が増え、解体する家もあります。
大谷さん
「全国で問題になってますけどね。そりゃもう限界集落になりますよね。なかなかよそから帰ってこんですよね」
使えるものは大切に残す

リノベは基本、すべて自力です。傷んだところは直し、エアコンなど必要な物は新たに取り付けました。ただ、使える物は残す。染川さんの方針です。
染川さん
「1番うれしいのは大谷さんみたいに元のオーナーさんができあがったときにめちゃくちゃ喜ぶんですよ。やっぱり自分の育った家をちゃんと残してもらって、いろんな人が来るっていうのは僕が思ってる以上に大谷さんはうれしいんだと思います」
大谷さん
「ここまできれいにするとは思わんかったですよ。下は浜もありますからね、ゲストに来て喜んでもらえるならいいんじゃないですかね」
新鮮な海の幸でおもてなし
ゲストが宿泊する日には自分で釣った魚を食べてもらうため、上関や平郡島周辺の漁場に向かいます。取り出したのは、漁師でもある大谷さんが作ってくれた仕掛け。

染川さん
「漁師直伝です。めちゃくちゃ釣れます、これ」
祖母が瀬戸内海の島で旅館を営んでいて幼いころ島や海で遊んだ体験がずっと心に残っていました。15年間、中国で暮らしたことで帰国して瀬戸内海の美しさをあらためて実感し、多くの人に知ってもらいたいと思ったことがゲストハウスを始めるきっかけでもありました。
待つこと、およそ1時間。
染川さん
「来ました!来ました!大谷さんの仕掛けすごいわ」
大谷さんの仕掛けのおかげでヤズが2匹釣れました。この日は地元の漁師さんが自分で釣ったタイを分けてくれることになりました。

小浜鉄也さん
「これいこうや、ええ?このぐらいで」
町の外から来た染川さんのために協力してくれる人も増えてきました。
小浜さん
「しっかり上関のよさを発信してください」
染川さん
「特にきょうは外国の人やから喜んでもらえるとね」
小浜さん
「インバウンドでバッと来てくれたらすごいけどね」
染川さん
「いや可能性ありますよホントに」
小浜さん
「頑張ってよ」
染川さん
「ありがとうございます」