国内各地でインバウンドの需要が日本経済に大きな影響を与えています。有名な観光地や都市部ではオーバーツーリズムが問題となっていますが、穴場で日本の日常生活を体験したいという外国人に人気なのが「ゲストハウス」です。

空き家をリノベーションしたゲストハウスで観光客を呼び込もうと、山口県上関町に新たなゲストハウスがオープンしました。空き家問題を抱える地方の名もなきまちの救世主となるかもしれない取り組みです。

染川昇さん(53)
「来ました!来ました!このサイズが小さいけどおいしいんですよ」

釣り上げた魚を手に向かった先は・・・。目の前に海が広がる抜群の見晴らし。ここは「海宿かみのせき」。3月、上関町長島にオープンした1棟貸しのゲストハウスです。オーナーの染川昇さんは瀬戸内の海が見える景色にほれこんでこの家を選びました。

染川さん
「やっぱりこの景色がね、やっぱり瀬戸内海って穏やかで美しいじゃないですか。そこのポテンシャルを信じて、あえて上関を選んだっていうのが1番大きいですね」

コロナ禍経てゲストハウス経営へ

リクルートに勤めていた染川さんは2006年から中国に駐在し、フリーペーパー・ホットペッパー上海版の立ち上げから運営を任されていました。その後、独立して上海ホットペッパーを経営、個人の会社として2020年まで運営しましたが新型コロナの影響で行き来ができなくなり、4年前、中国の会社を閉鎖して故郷の岩国に帰ってきました。

そのとき釣りで通っていた屋久島の知人から「いい空き家があるのでゲストハウスをやってみないか」と誘われ、空き家を活用したゲストハウスの経営に乗り出しました。最初に手がけたのは三重県熊野市の二木島町にある空き家です。穏やかな湾に面した小さな集落でコンビニや飲食店もなく、伊勢まで車で1時間半という決して便利とは言えない立地でした。

染川さん
「こんなところ絶対誰も来ないなと思ったら今、欧米の方で満室なんですよ。僕たちが1番びっくりしてて、意外と日本人以上に海外の方って日本のこういう原始的な生活を求めてらっしゃるのかなと思って、十分この上関にも勝算があるなと」