取扱物質の健康への影響評価や環境負荷に配慮したオペレーションを開発

チッソ代表 山田敬三 チッソ株式会社 代表取締役社長

(以下、全文)

祈りの言葉

 本日、ここに水俣病犠牲者慰霊式が執り行われるにあたり、謹んで水俣病の犠牲となり、お亡くなりになられました方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、ご遺族の皆様方に対しまして心より哀悼の意を表します。

 当社は、1908年に、ここ水俣の地で創業して以来、水俣市をはじめ周辺各市町村の皆様のご支援ご協力をいただきながら、企業活動を続けさせていただき、今年で117年の歴史を刻むことが出来ました。

 しかし、この歴史において、当社の工場廃水に起因する水俣病を惹き起こし、 多くの方々が犠牲になられましたこと、また、その結果、地域の皆様に多大なご 迷惑をおかけしてしまったことは痛恨の極みであります。

 このような過ちを深く反省するとともに、心からお詫び申し上げます。

 当社は、水俣病の反省に立ち、同じ過ちは二度と繰り返さないことを強く心に誓うと共に、患者の皆様に対する補償責任の完遂を経営の至上命題に掲げ、今日まで、各方面からのご支援に助けられながらも、この命題に取り組み、いつの時代においても全従業員一丸となって、責任を果たすべく、懸命に努力を 重ねてまいりました。

 時代は昭和から平成、そして令和となった今日、気候変動や生態系の崩壊、そして廃棄物の諸問題が地球の三大危機と呼ばれているように、地球環境の急激な変化への対応が急務ですが、当社グループにおきましては、過去の教訓を活かすべく、関係法令の遵守に留まらず、取扱物質の健康への影響評価や環境負荷に配慮したオペレーションを開発することで、健康で安全な生活、引いては地球環境への負荷軽減に努めているところでございます。

 特に当社の最重要拠点である水俣製造所は、この九州の地で合計13か所 の水力発電所を運営しており、この再生可能電力を用いてカーボンニュートラルの実現に取り組んでおります。また、その生産品目も、食と健康を担うアグリライフ製品や情報通信技術を支える高機能材料製品であり、いずれも社会課題を解決する製品として国内はもとより、海外のお客様ともネットワークの広がりを見せています。

 これからも当社グループの力を結集して社会課題を解決していくことで経営基盤を強化すると同時に、研究機関やお客様と連携して、将来の社会課題への準備を進めてまいりますが、まずは現在の計画をしっかりと達成していくことに努めると同時に、関係機関の皆様の施策に対しても協力していくことで、患者の皆様が安心して暮らすことができる環境を維持し、地域社会の発展にも貢献していく所存でございます。

 最後になりましたが、水俣病の犠牲となられた全ての御霊が安らかであられるように、そして、皆様からのご支援にお応えし、当社の責務を果たしていくた め、一層の経営努力を積み重ねてまいりますことをここにお誓いして、祈りの 言葉といたします。

令和7年5月1日 チッソ株式会社 代表取締役社長 山田 敬三