「自分のせいだ…」母親と向き合うセンター長の思い

岡田医師が特に強調するのは、母親の精神的・身体的な疲労へのサポートの必要性です。自分を責め、すべてを抱え込み追い込まれていく姿を、岡田医師は目の当たりにしてきました。

長崎県医療的ケア児支援センターつなぐセンター長 岡田雅彦医師:
「家族、特に母親は、自分が生んだ子が医療的ケア児になった時、『自分のせい』だと考え、『自分の責任だから』、『全てのケアは自分がするんだ』という使命感にとらわれる人が多い。《助けて欲しい》と思っても声になかなか出せず1人で抱えてしまう傾向にある…」

「手を差し伸べる体制をもっと整備して、おせっかいかもしれないけど、頼れる場所があることを伝えたい。医療的ケア児として生まれたことは偶然、生まれないことも偶然。どう生まれてきても親の責任にはならない」

「知る」から始めよう

長崎県医療的ケア児支援センターつなぐセンター長岡田雅彦医師:
「私たちは知らなすぎます。医師であっても、医療的ケア児の母親と対面で話して初めて気づくことがまだまだある。その子や家族がどんなことに困っていて、何を求めているのかを知るためには、まずは存在を知ることだと思う」

「時に、母親たちが私にぶつけてくれる本音。どんな思いでその思いを吐露したのかー。それを考えると、どんな本音であろうと『ゼロ回答では返せない』。ただ口だけで、『善処します』『考えておきます』で終わっては絶対にいけないと心に決めています」

今日を懸命に生きる医療的ケア児たち。側で支え続ける家族。その家族を理解し支える社会へー。

「医療的ケア児と一般の人が交流できるコンサートの開催なんて素敵じゃない?」ー伴走を続ける岡田医師は、そう言って笑いました。