PTAについて考える企画の最終回。小川記者です。
(記者)
PTA活動への加入は、本来「任意」ですが、意思確認が行われていない現状などをこれまでお伝えしてきました。
「活動を強制させられている」と感じる保護者もいることが課題となっています。いかにその「強制感」を感じずに自主的に活動できるか。PTAのあるべき姿を模索する現場を取材しました。
企画したのは、地域の「保護者たち」
黒いスーツにサングラス、さらに、黒いマスクも。校庭に現れた全身黒ずくめの大人たちに追いかけられ子どもたちが必死に逃げ回ります。

鹿児島市の清水中学校で先月、開かれたこのイベント。校区内にある清水小と大龍小の児童およそ200人が参加しました。企画したのは、地域の「保護者たち」です。
イベントの1週間前の午後7時ごろ、運営を担う保護者たちが公民館に集まってきました。

(尾曲弘さん)「鬼がちょっと少なめ、逃げる子は多めが良いのかなと」
イベントを企画した尾曲弘さん(48)です。この春、清水小学校を卒業した次女のためにとイベントを企画しました。背景にはPTAに起きた「ある変化」もありました。

(イベントを発案 尾曲弘さん)「PTAが任意(加入)になったことで、(親同士の)横のつながりがなくなったというのがすごく大きい。会員が少なくなると、子どもたちを見る目も少なくなるので、その意味でも、横につながるのが(イベント開催の)コンセプトだった」
清水小学校では、3年前からPTAへの加入は、「加入届」を出す形で意思確認をするよう改めました。しかしその結果、会員が半数以下に減少し、保護者同士のつながりが希薄になったと感じていました。
2年前、尾曲さんは、保護者たちが、フリマやステージ演奏を行う「清水フェス」を開催。今回もテレビ番組の企画をまねした大人が子どもを追いかけるイベントを企画すると、PTAに入っているかどうかに関係なく、100人以上の保護者が協力を申し出ました。
(保護者)
「長い紙を取ったら終わりとか」
「(校庭に)マウンドがある。マウンドは『ダメエリア』にしようかな。あそこは絶対転ぶ」

集まった保護者らからはアイデアが活発に出され、ときに、笑い声が起こります。尾曲さんは、子どもたちを支える活動は、「保護者自身が楽しむ」ことが大切だと考えています。
(尾曲弘さん)「自分たちも楽しいと巻き込むことで、大人たちもこちらに向いてくれる」
(保護者)「PTAはあまり行かないが、きょうの感じも見てわかると思うが、わりとフリートークが出てきて、すごく参加しやすい」