「食料自給率は38%」 補助金以外にもある工夫の余地

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今回の関税交渉で、日本側がアメリカの要求のコメの受け入れ拡大をすることはありません。政府の関係者に聞いてみても、今回はやりませんと言っています。
理由はいくつかあって、一つはアメリカが本当にコメの輸入拡大を求めているかどうかという点です。トランプ政権の中でも相当揺れ動いていて、はっきりしていません。
やはりコメの自給は、日本の食料安全保障の根幹です。あまり議論のないまま、アメリカにお土産を出すみたいな形でやるのはもうやめましょう、ということで、この問題は少し先送りになっていると思います。
井上キャスター:
コメの政策に関して、日本は今まで減反政策(生産調整)をして、輸入も制限して守る形でやってきました。
例えば、これからはコメをたくさん作って、余った分は輸出するなど、大転換をするような話し合いにはならないのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
少しずつそういう市場原理を取り入れるなどをやってきて、減反自体はもう解消してますが、なんせスピードが遅いんです。
そうこうしているうちに、農家の人たちの高齢化が進んで、平均年齢が70歳近くなってしまい、後継者もいないという事態になっています。
この状況から転換するには、非常に難しい状況まで陥ってしまいました。こういう段階で、無理に市場原理を導入してしまうと、地道に作っていた農家が潰れてしまうことになります。
なので、保護しながら、市場原理を少しずつ入れることをやっていく必要があると思います。
出水麻衣キャスター:
現場から「補助金が欲しい」という声もありますが、他に何か手立てはあるのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
なんだかんだ言っても、日本のコメ政策は小規模なんですよね。小規模でコストが高いので、それを少しでも大規模にしていくなどでしょうか。
他には、コメ作りをやめた人を相手にレンタルできるようなシステムを拡大していくこと。
移住した若い人で「コメを作りたい」という人がいるので自由にできるような仕組みづくりをすることですね。
それから、基盤整備みたいなものは自治体や農水省が手伝うなど、そういう工夫の余地はあります。
なんせ、日本の食料自給率は38%しかないので、ここでコメも外国から頼るわけにはいきません。日本全体の食料をどうするのかを、枠組みで考える必要があると思います。