元記者の女性が国会議員の公設秘書だった男性から「取材中に性暴力を受けた」として国に賠償を求めた裁判で、東京地裁は国に440万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

元記者の女性は報道機関で記者として働いていた2020年に、上田清司参院議員の公設秘書だった男性から「取材中に性暴力を受けた」として、公設秘書の行為に責任を持つ国に、慰謝料など1100万円の賠償を求める訴えを東京地裁に起こしています。

元記者の女性は、公設秘書だった男性から上田議員が所属する会派についての情報を提供するという名目で会食に呼び出され、飲食店で大量に飲酒し、その後、抵抗できない状態で被害にあったなどと主張しています。

きょうの判決で東京地裁は、公設秘書だった男性の性的暴行の事実を認めたうえで、会食について「客観的には報道関係者への取材対応として行われたものだ」と指摘。そのうえで、会食後の性的暴行について、「会食と時間的、場所的に密接性があるといえるため、公設秘書としての職務執行の外形を備える行為だった」として、国に440万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

一方、公設秘書に対する上田議員の指揮監督義務については、「具体的な注意義務があったと認めることはできない」としました。

判決後、原告の女性は、「責任追及の主張が認められてほっとしました」「被害者が勇気をもって声をあげようとしても、それをためらわせる社会は変えたいと思いました」「社会から性暴力をなくすため、多くの人に『他人事』ではなく、『自分ごと』として理解してもらいたいです」などとコメントしています。

一方の国側は、「判決を精査の上、適切に対応してまいりたい」とコメントしています。

原告側によりますと、元記者の女性は2020年、公設秘書だった男性を刑事告訴し、男性は準強制わいせつと準強制性交等の疑いで埼玉県警から書類送検されましたが、その後に自殺し、不起訴となりました。