子育て世帯のリアルを反映!安全対策と空間づくり

火曜ドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』より

子どもがいる家庭を意識した工夫も随所に見られる。特に長野家では、テーブルの角にクッションをつけたり、キッチン前にベビーゲートを設置したりと、目に見える形で安全対策を施されている。さらに、安藤氏は「普段、マンションのセットでは小上がりを作ることがよくあるのですが、今回はなるべく段差をなくし、子どもがつまずかないようフラットな空間を意識しました」と、子どもが多い撮影現場ならではの配慮も。

こうしたアイデアは、安藤氏が実際に小さな子どもがいる知り合いの家庭を訪問し、親たちから話を聞くことで生まれた。「村上家は、専業主婦の詩穂が常に子どもを見ていられる環境であることから安全対策はそこまで厳しくしませんでした。一方で、長野家は忙しい共働き家庭のため、子どもから目を離してしまう時間もあると思ったんです。なので、子どもを守るため安全対策のアイテムを多めに取り入れました」と、子育て世帯の生の声を大切に、リアルな家庭の雰囲気を再現している。

安藤氏に本作ならではのこだわりを尋ねてみた。「坂上さんがアジサイが好きな設定なので、私が見つけたアジサイのパッチワークを坂上家に取り入れています。坂上さんはアジサイだけでなく、花もこまめに手入れするキャラクターなので、庭の植物なども変わっていたりします」と植木装飾の担当とも協力して設計しているという。

さらに植木装飾担当との連携は村上家でも。「食卓の横に置いてある豆苗は話ごとに成長度合いが変わっていて、切られていたら“食べられたんだな”と思ってもらえたら(笑)」とこまやかな変化も意識。そういった生活の積み重ねが感じられるポイントは他にも多く存在する。また詩穂の娘・苺(永井花奈)の名前にかけて、イチゴグッズも村上家には多数存在する。これらは登場人物のキャラクターをより深く表現するための工夫の一環だ。

作品のキーアイテムである主人公が好きなアジサイは、植物としてだけでなく、そのカラーがセット全体や衣装などにもさりげなく取り入れられている。

火曜ドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』より、村上家の窓際に置かれている豆苗