日本にはおよそ5000万世帯が存在し、それぞれの家庭には異なる価値観やライフスタイルがある。核家族、共働き世帯、単身世帯、三世代同居など、多様な家庭の形が存在する中、日々を過ごす部屋にも個性が生まれる。
ここでは火曜ドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(TBS系)の美術デザインを担当する安藤帆南氏に取材を敢行。登場する各家庭が持つ雰囲気や特徴を表現するために、どのようにデザインし、どのような意図が込められているのか話を聞いた。
“色”が生み出す家庭の個性――収入・価値観・生活スタイルを反映

制作段階で決まったのは、それぞれの家庭を象徴するテーマカラーの設定だったという。本作に登場するのは、2歳の娘の育児と家事に奮闘する主人公の専業主婦・村上詩穂(多部未華子)と、仕事と育児の両立で毎日てんてこ舞いの2児のママ・長野礼子(江口のりこ)、そして慣れない育児に奮闘する育休中のエリート官僚パパ・中谷達也(ディーン・フジオカ)と、多種多様な一般家庭。
安藤氏は「村上家は水色やピンク、青みのあるカラーを基調とし、長野家は黄色やオレンジなどの暖色系、中谷家はモノクロで高級感のある雰囲気、そして詩穂の専業主婦の先輩・坂上知美(田中美佐子)が暮らす坂上家は、癒やしを感じるグリーンをイメージしてセットを組んでいきました」と語る。