村上家と長野家は同じマンションの隣室に住んでいるが、収入や生活スタイルの違いを表現するために、安藤氏はセットの細部に差をつけたという。「村上家は、生活感がありながらも整った空間を意識し、どこかスローな時間が流れているような雰囲気を持たせました。特にインテリアは派手さを抑えつつ温かみのある色調を取り入れ、壁紙は白を基調とした、一見すると幸福度の高い家庭のような空間になっています」。
また村上家は倹約した生活を送る設定もあることから、「リサイクルショップで夫婦が1つひとつそろえたようなレトロな家具を配置し、時間をかけて部屋を作っていったような生活の痕跡を感じさせるデザインにしました」と裏話も。

一方、長野家は共働きで安定した収入がある家庭らしく、リノベーションされたおしゃれな部屋が特徴だ。「礼子の“こうありたい”という美意識のもとに選ばれたであろう家具を配置しています。その中で子どものおもちゃが散乱していることで、理想と現実のギャップが見えるようにしました。1日の生活のスピードも意識し、アイテムのレイアウトにもせわしない雰囲気を盛り込み、壁の色にも変化をつけることで、村上家との差別化を図りました」。
中谷家は実在する高級感のある物件をベースに、モノクロ調の家具を配置し、収入の高さを表現。「子どもの成長を考慮したグッズをそろえ、支援センターのキッズスペースぐらい充実させることで、子どもに重きを置いている家庭であることを伝えたいと考えました」と、完璧主義な親を意識したレイアウトになっている。

坂上家はどこか懐かしさを感じる空間を意識。「坂上さんが手作りしたアイテムやアンティーク調の家具を多く取り入れ、長く大切に使われたものが積み重なってできた温かみのある家を目指しました。特に庭や室内の植物の配置にはこだわり、アジサイを含めたグリーンを多く取り入れることで“生きづいている”空間を演出しました」と教えてくれた。