ローマ教皇フランシスコが死去したことをうけ、カトリック長崎大司教区は以下のようなコメントを出しました。

【全文】教皇フランシスコの訃報に際して

とても悲しいお知らせを行わなければなりません。わたしたちの親愛なる霊的父親であるフランシスコ教皇様がお亡くなりになりました。ご存知のように、教皇様はたびたび入退院を繰り返しておられましたが、2月14日に再入院なさっていました。その間、ご病気回復のためにお祈り続けてくださいましたことに感謝申し上げます。

教皇様は2013年に教皇に選出されて以来、ご高齢であるにもかかわらず精力的に教皇職の激務を果たしておられました。わたしたちにとって懐かしく身近なことと言えば、2019年の11月、ここ長崎にもおいでくださったということです。

この長崎において、教皇様は、このわたしたち長崎の人々は二つのことの証人であることを示してくださいました。
まず一つは、爆心地公園でのことでした。教皇様は、まず最初に爆心地公園に向かわれ、被爆犠牲者の方々のために祈りを捧げられた後、こうおっしゃいました。この地は「核兵器が人道的にも環境にも悲劇的な結果をもたらすことの証人である」そして、続けて「この町は、軍備拡張競争に反対する声を上げる努力がつねに必要です」と諭してくださいました。(11月24日長崎・爆心地公園にて)

そして、もう一つ、常に教皇様が諭されたことの証人とは、キリストの証し人のことです。教皇様は日本の殉教者をとても尊敬しておられました。そして、このわたしたちがその殉教者としての遺伝子を受け継ぐ子孫であることを認めてくださり、「日々黙々と務める働きによる『殉教』を通して、すべてのいのち、とくにもっとも助けを必要としている人を保護し守る文化のために働くことが身についた、宣教する弟子として生きる」ように、そして、わたしたちが「宣教の喜びを呼び覚まし、それを保つことができように」(11月24日長崎・西坂公園)祈ってくださいました。

わたしたちは今、この二つのことをわたしたちに与えられたフランシスコ教皇様の遺言として受け取ります。

長崎大司教区の皆さま、わたしたちは、世界平和のために祈り、声を上げ、具体的にできることを行っていきましょう。

そして、何よりも皆さん、殉教者たちが証しした、まことの平和であり道であり真理であり命であるお方の福音を、フランシスコ教皇様がこれまで身をもって示してくださったように、わたしたちもまわりの人々に、自信をもって誇りをもって勇気を持って伝えていく決意をあらたにし、福音宣教をあきらめることなく行い続けていくことをフランシスコ教皇様への弔辞といたしましょう。

このわたし長崎教区のしもべであるペトロ中村倫明は、あの訪日の時、またローマでの新司教研修会とアドリミナの際に、教皇様から直接いただいた祝福を、これからも皆さま方に分かち合ってまいります。

2025年4月21日
カトリック長崎大司教区
大司教 ペトロ中村倫明