不妊治療スタート 誰にも言えない闘い…

妊娠の可能性が限られてしまう現実を受け止めながら、千種さんは卵胞が残っている可能性を信じて不妊治療を始めました。

そして同時に、東京のテレビ局で新たなキャリアをスタート。
“働くこと”と“病気と向き合うこと”の両立が始まりました。

毎日午後7時に排卵誘発剤の注射を自分で打たなければならず、トイレに行くふりをして打ったこともあったそうです。

治療のために手術入院もしましたが、職場には言えなかったと振り返ります。

“早発閉経”について発信 千種ゆり子さん
「年齢が若い20代だったので、不妊治療とちょっと無縁かなと周りに思われることや、変に体調を不安視されて番組を下ろされる不安もあり、言えませんでした」

「不妊治療って、みんな旦那さんとかパートナーがいてやるものなのに、なんで私は1人でやっているんだろうと、孤独な感じはありました。1人で抱えていましたね」

「いつかは子どもが欲しい」という夢に向け、2年間注射を続けましたが、採卵には至らず、29歳で治療を諦めました。

“早発閉経”について発信 千種ゆり子さん
「頑張って毎日打っていても、卵子が育たないから、もう生理を起こしましょうねってなったときが一番絶望なんですよ。今週も駄目だったって」

「不妊治療をした人、みんな口々に言うのは、生理を起こしましょうかってなったあと、その生理までの期間とかは本当に辛い。精神的に」
「お金もそんなに潤沢にあるわけではなかったので、あんまり可能性の低いことにお金を使うよりは、何か別のことに使った方がいいのかなって思って、治療を諦めました」

女性クリニックWe富山 鮫島梓医師
「卵子は増産できる細胞ではないため、減った分を取り戻すことは基本的にできません。月経が停止してから、1年以内だとわずかでも卵胞が残っている可能性があり、ホルモン療法や排卵誘発剤で卵子が育つこともありますが、そこから2年、3年経過すると、多くの場合は卵巣の機能が停止している状態なので、妊娠というのがかなり大きな問題にはなってきます」