友好国は米中二者択一の“踏み絵”を迫られる?

しかしこの状況は、アメリカにとってこれまで割安だった中国製品が大幅に値上がりすることを意味します。

たとえば「スマートフォン」、特にiPhoneはその多くが中国で組み立てられているため、それをアメリカで売ろうとすると145%の関税がかかり、価格が2倍以上に跳ね上がってしまうのです。

そんな懸念を受けトランプ政権は、スマホについては「相互関税の対象から外す」と発表しました。ところが、関係者が胸をなでおろしたのも束の間、この2日後にトランプ氏は、スマホについて「別の関税バケツに移されただけだ」と投稿したのです。

これは、どういう意味なのでしょうか?トランプ氏にならって、一連の関税措置を「バケツ」を使って考えてみます。すると、国ごとに課税する「相互関税」のバケツと、特定の製品ごとに課税する「分野別関税」のバケツに大きく分けられます。

そして今回トランプ政権は、スマホについて新たに「半導体」というバケツを設置すると説明。スマホは、こちらのバケツに組み入れるということのようです。

「分野別関税」としては、これまでに、鉄鋼、アルミ、自動車などのバケツが設置されていて、それぞれ25%の関税が課されていますが、半導体に対する関税率は、まだ明らかにされていません。

二転三転するトランプ関税について、明海大学の小谷哲男教授は、半導体や鉄鋼など「安全保障上不可欠な分野で“中国に負けない”、“中国に依存しない”体制をつくる狙いがある」と指摘。

こうした経済安保の分野では、最終的に日本などの友好国に対してもアメリカを取るか中国を取るか、二者択一の“踏み絵”を迫ってくると分析しています。