上皇陛下も共同で論文を発表されるなど、熱心に研究されていた「ツバサハゼ」。そうした研究などから、「ツバサハゼ」は、川で産まれて海で成長し、その後川に戻ってきて産卵する「両側回遊性の淡水魚」と考えられています。
そんな「ツバサハゼ」が、生息していないはずの「高知」で、「稚魚」の個体が見つかった…。今回発表された論文によりますと、発見・採集された「ツバサハゼ」の個体は、「南方の地域の川で孵化して海に流れ出て、その後、黒潮などの海流によって高知まで運ばれてきた可能性が高い」ということです。
では、どこで生まれたのか…?。卵から孵化するまでの期間が知られていないため、「国内の川で孵化したのかどうかはわかっていない」ということです。
鹿児島県の屋久島と奄美大島では、越冬したと考えられる個体が確認されているということですが、高知県ではこれまで「ツバサハゼ」が確認されてこなかったうえ、見つかったのが稚魚1 匹のみだったことから、「高知の川では越冬していない可能性が高い」といいます。
「黒潮で高知まで流れてきた」とする理由について、井藤さんは、近年の異常気象による「海水温の上昇」を可能性の1つに挙げています。