国内では、屋久島、奄美大島、沖縄本島、石垣島、西表島でしか見られなかった「珍しい魚」が、高知県の川で発見されました。趣味で水中写真を撮っていた男性が偶然発見した、「そもそも日本にあまりいない、めちゃくちゃ珍しい魚」。なぜ、沖縄から700~800kmも離れた高知で、この「珍しい魚」が見つかったのでしょうか?

細長い体に、岩に擬態したような茶色い体の色。かわいらしい丸い目をしたこの魚は、ハゼの仲間、スズキ目ツバサハゼ科の「ツバサハゼ」です。
この「ツバサハゼ」はこれまで、産卵場所や孵化するまでの期間などが分かっておらず、国内では、屋久島、奄美大島、沖縄本島、石垣島、西表島だけで生息が確認されていました。
そんな“謎多き魚”が、2023年10月、沖縄・奄美地方から遠く離れた高知県大月町の川で発見・採取されたのです。発見した「阿波魚類研究会」の庄野耕生さんと、徳島県立博物館の学芸員・井藤大樹さんが論文にまとめ、2025年3月に発表しました。

◆徳島県立博物館 井藤大樹 学芸員
「これまで高知の魚を調べてきた歴史の中で、1度も見つかってこなかった。そんな中で『ツバサハゼが見つかった』というのが、今回のすごさだと思います」
論文によりますと、今回採取されたのは、体長およそ2cmの「ツバサハゼ」の稚魚1匹。四国で発見された初の記録で、これまで沖縄・奄美地方でしか確認されていなかった「ツバサハゼ」の生息の北限を、大きく更新する記録となったということです。