トランプ大統領は考えを変えたのか…“相互関税”の発動を突如90日間延期した。株価や米国債の価値低落が影響したかのように見えるが、中国などにはさらに報復の報復として125%という高い関税を課した。GDP1位と2位の国同士のチキンレースの様相は世界経済に悪影響を与えインフレが進むのは間違いない。さすがにアメリカ国民も気づいたのか…最近トランプ人気に陰りも見えて来た。
「共和党候補がいくら選挙区に尽くしてもこの“トランプ・ペインン・トレイン(=痛みの列車)”から逃げられない」
“相互関税”を一端は延期したもののあくまで延期。90日後に再び復活することもある。トランプ氏が“改心”するとしたら何なのかを考えてみた。
笹川平和財団 渡部恒雄 上席フェロー
「中間選挙で民主党に過半数取られたら、弾劾を受ける場合があるわけで、それだけは避けたいんだろうと私は思う。やはり保身が第一に来るので…。この先かなりトランプ氏が憲法違反のようなことをやる可能性があるので…。そういうのに対して下院で過半数を民主党が持ってれば弾劾決議できるわけですよ。それをトランプ氏は一番気にするんじゃないかと…」
トランプ氏が最も心配しているのは選挙。その心配を煽るような事態がここのところ相次いでいる。先月ウィスコンシン州であった最高裁判所の判事選挙に肩入れしていたのはイーロン・マスク氏。地元の産業であるチーズの被り物まで身につけ盛り上げた。

被り物だけではない。金も70億円を使ったという。共和党側の候補を支援する人の中から2人に1億5000万円を渡すキャンペーンも行った。しかし結果は民主党側が10ポイントの差で勝利。この選挙の2日後トランプ氏はマスク氏が政権を去ることを匂わせ、逆にマスク氏は「欧州の関税はゼロにすべき」と発言した。


そして重要州ペンシルベニア州でも。州議会上院議員選挙で136年ぶりに民主党の候補者が勝った。トランプ政権の勢いが陰りを見せていることの象徴とも言われている。

ペンシルベニア州 元民主党トップ T.J.ルーニー氏
「トランプ氏が挑戦的姿勢を取り続ける限り民主党は有利な立場に立ち続けるだろう。民主党はトランプ大統領を“不利な要素”として活用する術を見出した。我々はトランプ氏を対立軸とした…(中略)共和党候補がいくら選挙区に尽くしてもこの“トランプ・ペインン・トレイン(=痛みの列車)”から逃げられない。共和党候補者たちは全国区でこの列車に轢かれるのだ」
“関税”というトランプ氏の政策が民主党の追い風になるという見方は渡部恒雄氏もうなずく。

笹川平和財団 渡部恒雄 上席フェロー
「物価高、インフレは民主党にとっては二重にアピールできる。“トランプ氏はウソをついた”これが一つ。それから“現職の政権がやってることは間違っている”とも言える。物価は所得が低い人ほど、株価は所得が高い人ほど影響を受けるんです」