パンク寸前のワンオペ育児 働きやすさが生む悩み

働く女性への制度が充実していることにはメリットがある反面、新たな悩みの種にもなっている。かつて祖父母との同居が一般的だった時代は家事や育児を分担できる環境があった。しかし、核家族化が進む現代、「育児・家事を全てやらなければいけない中で、さらに働いてパンクする女性」の存在を石田氏は指摘する。本作で江口のりこが演じる長野礼子がこの例にあたるだろう。営業部でバリバリ働いていた長野だが、育休明けに総務部へ異動に。夫も多忙で夜遅くまで働いているため、育児はほぼワンオペ状態だ。
石田氏によると、アメリカやヨーロッパの有給休暇取得率100%に対し、日本は半分ほどしか取れていないというデータもある。「女性が働きやすい職場は、実はみんなが働きやすい職場。特定の人だけが恩恵を受けるのではなく、男女ともに子どもがいる人もいない人にも風通しの良い職場づくりができるよう働き方改革を進めてきました」と前置きしつつ、有益な情報があまり浸透していないことや行政の目が届いていない部分があることが課題だと話す。