知ることが国を動かすきっかけに

働く女性と育児の関係性に向き合い続けてきた石田氏だからこそ原作に共感したといい、本作は「国を動かす1つのきっかけになるかもしれない」と期待を寄せている。

4月から施行された「改正育児介護休業法」。子の看護休暇や残業免除の対象範囲拡大、介護離職を防ぐための雇用環境整備など、より柔軟な働き方を実現するための措置が盛り込まれている。石田氏はこうした制度改正を多くの人に知ってもらうために、国として周知活動を進めていく必要があると話す。

「育児や家事、介護は誰でもどこかで経験することだと思います。今回ドラマで取り上げられることは国民の皆さんに認識してもらう良い機会になるのではないでしょうか。関心が向くことでより良い社会につながっていくのではないかと期待しています」

近年は人手不足の影響もあり「働きやすさ」に重点を置いた制度改革が進んでいる。しかし、その背景には家庭という社会を支える存在がいることを忘れてはならない。「厚労省にはディーンさんみたいなイケメンはいませんが」と笑いながらも、官僚として育児や働き方に携わってきた石田氏の言葉には誰一人“対岸”に取り残さない社会づくりへの思いがにじんでいた。育児も家事も、「誰かがやるべきもの」ではなく、「社会全体で支えるもの」――この意識が広がることこそ、今、最も求められていることなのかもしれない。