最高のコースが最高の名手(マスター)を出迎える

小笠原アナ:マスターズの舞台、オーガスタナショナルGC、行ってみたくないですか?

織田さん:行ってみたいでしょう。行ってみたくない人なんているんですか?あの短いパー3、やってみたいですよね。

小笠原アナ:コース全体が距離が長くなる中、ここは創設時から変わらないんです。

織田さんもプレーしてみたいと話すのは12番。“世界でもっとも有名なパー3”といわれるこのホールは、数々の名場面を生み出してきたオーガスタの名物だ。155ヤードと短いものの、グリーンが木に囲まれていることで風が読みにくく、その手前を小川が横切っているため、寸分の狂いも許さない難易度を誇っている。

12H

その12番ホールだけでなく、コース全体が大きく起伏に富んでいるため、少しのズレが明暗を分けてしまうのがオーガスタ。仮に正確なショットで攻略しても、さらなる難関がプレーヤーを待ち受ける。

12Hにかかる橋は撮影スポットにも

小笠原アナ:でも最後はグリーンでパット勝負になるんですよね。やっぱり。

織田さん:パットとアプローチは本当に大事ですよね。僕は今アプローチが大好きで、やってみたいですね。へたくそなんですけどね。

小笠原アナ:中継見てるとどうですか、松山プロのアプローチは。

織田さん:松山プロなんて穴がないじゃないですか。アプローチももちろんだけど、あの人が世界一だと思うのはフェアウェイウッド。5番ウッドとか。違うよっていう人にはごめんなさいだけど。アイアンより精度良くない?って思う時があって。2021年のZOZOチャンピオンシップの最終ホールで見せた5番ウッドのスーパーショットはすごいですし、ちょっと離れててもああいう時のパットって外さないじゃないですか。たまたまZOZOのプロアマに出たことがあって、2023年の日本ツアー賞金王の中島啓太プロ(24)と一緒にラウンドして。彼は全部カップに入りそうなことをやってくるんですよ。そんな彼が「松山さんにはかなわないっす」って言うんだよね。こんなに上手いし、こんなにティーショットが飛んで離されちゃう。プロってこんなにすごいのって思った。ごめん、全然話が脱線しちゃった(笑)

左からB.ケプカ、J.トーマス、A.スコット、F.カプルス

力を与え、大の男を泣かせる罪な男、松山

手首のケガでゴルフから遠ざかり当時のゴルフ界を「全然知らなかった」と振り返る織田さんだったが、ゴルフを再開したきっかけはなんと2021年の大会で松山が優勝したことだそうだ。

2021年に優勝した松山英樹

織田さん:たまたま本当に偶然2021年のマスターズを見て、再びクラブを握ったんです。その大会は生まれて初めて4日間全部見て、「あれ手首が痛くないぞ?ゴルフできるかもしれない」って思って。彼から力をもらったのかもしれない。だって日本人がマスターズで勝って、最後に放送席の3人が泣いていたじゃないですか。あれを見てゴルフを知らない人でも、僕みたいにちょっとかじっている人でも、驚く瞬間だった。

松山が初制覇を果たしたその直後、放送席でその様子を見届けた中嶋常幸プロ(70)、宮里優作プロ(44)、小笠原アナは沈黙。その様子が話題となったことがあった。

織田さん:この光景が変でしょ。何も知らない人がみたら、何があったんですかってなる。大の男3人が涙することなんてない。しかも自分ではない人の話。親戚でもなんでもないのにこんなに泣けるってすごいって思わせてくれたのはあなた方のおかげ。

小笠原アナ:ありがとうございます。アナウンサーとしてしゃべらないでこんなに褒められたことがなかったので、喋らないのが良かったと言われて不思議な気持ちでした。

織田さん:わかる。吹雪の中で映画を撮って、演技プランなんか全然通用しない時に賞をいっぱいもらった。こんなもんかって。

小笠原アナ:ちなみに松山プロと直接話す機会があって、その沈黙の様子の映像を何かで見たそうで。泣きすぎですよ、ってまず言われたんですけど、それ見て泣いていたそうです。

織田さん:先輩が勝って泣いてくれるなんてない。泣かしたことないもん俺も。すごい罪な男ですよ。

小笠原アナ:松山の優勝を世界陸上でいうならばどういうものにたとえられますか?

織田さん:ゴルフの中でそんなに詳しくないけど、100mで世界一になるくらい。ありえないでしょ。それくらいの驚き。すでに決勝に行った日本人はいる。言い過ぎ?でも100mで世界一になるって考えられないでしょ。そのくらいだったと思うよ。