猛烈な勢いでコストカットを進めるアメリカのトランプ政権。世界中で「報道の自由」を支援してきた報道機関も資金を大幅削減されようとしています。
トランプ大統領
「たくさんの金が無駄遣いされ、非常に偏ったものの見方をしている。必要ないものだ」
トランプ大統領が「不要」と指摘したのは、アメリカ政府系の報道機関。国内だけではなく、「報道の自由」が制限される国にニュースを届けてきました。ワシントンに本部があるRFA=「ラジオ・フリー・アジア」は今、閉鎖の危機にあります。
記者
「トランプ政権の方針で、こちらの放送局ではスタッフの7割以上が突然、仕事を奪われました。平日の日中ですが、空席ばかりです」
ラジオやインターネットで配信するニュースには、中国や北朝鮮などアジア各国から毎週およそ6000万人がアクセスしています。高い支持の一方で、年間91億円の予算がすべて連邦政府の助成金だったことから、トランプ大統領の歳出削減の対象になったのです。
RFA幹部 ロヒト・マハジャンさん
「このまま何も変わらなければ、ラジオ・フリー・アジアは終わります」
予算不足で1か月ほどしか報道を続けられないといい、現場の記者たちは身の危険にも直面しています。
RFA所属 カンボジア人記者 ウォティ・ターさん(39)
「もしラジオ・フリー・アジアが閉鎖されたら、私自身にも大きな影響があります。私は母国カンボジアに帰国できません。戻れば、政府に逮捕される危険があるからです」
「ラジオ・フリー・アジア」のカンボジア・プノンペン支局で記者をしていたウォティさん。
RFA所属 カンボジア人記者 ウォティ・ターさん(2016年)
「私はあと数キロで(殺害された評論家の)ケム・レイ氏の自宅に着きます」
2016年、当時のフンセン政権が報道弾圧を開始。自由な記者活動を求め、去年、アメリカの本部に入社しました。
RFA所属 カンボジア人記者 ウォティ・ターさん
「現在のカンボジアでは、中立の立場の報道機関はほぼありません。だから、国民にとって大事な問題を伝えるラジオ・フリー・アジアをカンボジア人は信頼しています」
5歳と3歳の子どもと暮らすウォティさん。現在、専門職の一時ビザで働いていますが、記者の職を失えば、家族全員の滞在資格がなくなります。子どもたちの将来を考えると、自然と涙が溢れるといいます。
RFA所属 カンボジア人記者 ウォティ・ターさん
「アメリカの政府系放送局が閉鎖されれば、カンボジアの政権には大きな恩恵です。アメリカ政府は独裁政権に、そんなギフトは与えないと信じています」
「ラジオ・フリー・アジア」は先月27日、トランプ政権による予算凍結の撤回を求めて、裁判所に提訴しました。「報道の自由」と「記者の安全」は守られるのか。アメリカの判断にかかっています。
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