自動車など品目別関税は別枠に
日本にとって唯一の救いだったのは、先に発表した自動車・自動車部品への25%など品目別の関税は別枠となり、『相互関税』の対象にはならなかったことです。すなわち、自動車・自動車部品や、鉄鋼・アルミへの追加関税は品目別として課せられる25%に留まり、相互関税24%の更なる上乗せは避けられました。
もう1つ、自動車との関連での注目点は、メキシコとカナダが『相互関税』の対象から当面、外されたことです。両国には不法移民と麻薬への対策ですでに25%関税が発動されていますが上乗せはなかった上、北米内の貿易協定であるUSMCAの基準を満たせば、その関税も軽減される措置が継続されました。ビッグ3を始めとするアメリカ産業界への影響がこれ以上大きくならないよう配慮した形です。日本の自動車メーカーにとっても、メキシコやカナダでの生産の優位性は一定残ったと言えるでしょう。
アジア諸国は軒並み高い関税率に
発表された『相互関税』を上から見ると、カンボジア49%、ベトナム46%、スリランカ44%、バングラデシュ37%、タイ36%など、アジア諸国の税率が軒並み高くなっています。アメリカがターゲットにする中国の34%以上の関税率で、先に述べた単純な計算式の結果なのでしょうが、当該国の対米感情には大きく影響しそうです。
トランプ政権からすれば、中国からの「迂回輸出」阻止といった見方もできるのでしょうが、アジア諸国からの「安くて良いモノ」がアメリカを豊かにし、ひいては世界経済の成長をけん引して来た事実を全く顧みない姿勢です。台湾、インドネシアは共に32%と中国並みの『相互関税』で、地政学的な配慮も全く感じられません。
その一方、BRICsでもブラジルだけが10%、ヨーロッパでもイギリスは10%に留まり、欧州やアメリカ大陸には甘い印象です。