鹿児島県長島町で暮らす高橋ひなのさん、17歳。たんの吸引などの介護が日常的に必要な医療的ケア児です。ひなのさんのように災害時に避難する時などに支援が必要な人は、県内に6万8000人以上います。

家族の高齢化などで孤立する心配もあるなか、地域で支えようと、3月にひなのさんが参加する避難訓練がありました。

先月、長島町で行われた避難訓練です。

「管も一緒に止めて」「一回ストップ、急に上げたら血圧が下がるから」

中心となったのは、行政ではなく、消防団員や看護師ら、地域の人たち20人ほど。全員顔なじみです。

伊唐島で暮らす高橋ひなのさん、17歳です。中学3年生だった3年前、小脳出血で倒れました。

後遺症で自分で呼吸できず、3時間ごとの痰の吸引や、1日20回ほど体の向きを変えるなどの介護が必要な医療的ケア児です。両親が中心となり、24時間サポートしています。

ひなのさんのような医療的ケア児は県内に242人。国の調査では、この15年間で倍に増え、全国に2万人以上と推計されています。

3人きょうだいの末っ子のひなのさん。絵を描くことが大好きで、中学校では美術部長を任されていました。現在は週3日、出水市にある県立特別支援学校の教諭が自宅を訪れ、美術や歴史などを学んでいます。

人口255人の伊唐島。父・進さんは、島の特産・赤土バレイショの農園を営んでいます。妻・美由紀さんの地元に移住してきました。

島は県本土と2つの橋でつながっていて、阿久根市まで車で30分ほど。ひなのさんの移動には介護車両が必要です。年2回の通院では、国の補助を受けても1回5万円かかっていたため、先月、210万円で購入を決めました。

2人が最も懸念しているのが災害時の「孤立」です。