後藤政治部長:
民法の不法行為も含むんだということを明言しています。岸田総理答弁では一転の理由について、政府としてこれから調査を行うにあたって「考え方を整理したのだ」と。18日の国会のやり取りも踏まえて考え方を整理したと説明しています。
これも準備不足が出てきたのではないかと思います。野党側は最初の答弁を受けて「刑事罰に限定してしまうと調査の時間がかかりすぎるのではないか」と、だからもう少し対象を幅広く見ていくべきという議論がありました。政府側も国会終了後、関係者で協議しました。その中で19日の結論にいたったのだと思います。

総理官邸の関係者によれば「文化庁がずっと民法は入らないと言っていた。だから官邸でそこを変えるようにお願いをしていた」などと説明しています。準備不足だと思うのはそもそも解散命令請求をするというのは大きな決断、それには当然何を根拠にという法律的な部分というのはイロハのイだと思うのですが、その部分で官邸と文科省=文化庁で認識の齟齬があったと思う。やはり岸田さん、政府もどこまでやっていいのかギリギリまで模索したのではないかと、図らずもそれを示してしまったのではないかと思います。

ーーそうした中で19日の流れとしては被害者の救済法案に関する協議が・・・

後藤政治部長:
19日の午後に与野党の国会対策責任者で協議が始まった。これまでも被害者救済をどうしていったらいいのかという点は与党内でも議論がありました。野党側はいち早く独自の救済案を提出する動きを見せていました。
今後、臨時国会は12月中旬まで続きますが、今回は色々な問題があります。これまでのように単に関連イベントに誰が出たかという局面ではなく、どう被害者を救済していくのかということと、政府の進めている調査はどこのステージまで進んでいるのか、こうした面も含めて同時並行していくと思う。



ーー調査の部分と被害者救済の具体的な内容の部分が同時進行していくということか?

後藤政治部長:

救済法案に関しては今の動きで見ると野党が先行しています。ですから政府与党は、ここで後手後手にまわると野党側から「政府与党は何やっているんだ」と責められかねません。そういうところは十分、政府与党も認識していると思います。野党の言い分も合理的な部分は受け入れながら、野党側の協力も受け入れながら法案化の作業が進んでいくのではないかと思います。

ーー被害者の方々からすると、いち早く形になってほしいという声もあるでしょうね。

後藤政治部長:
調査というのはスムーズにいつまでできるかは専門家との協議や調査方法で変わってきます。そういった意味で言えば、行政・立法府として困っている人たちに何ができるかということも大切なことだと思います。
答弁修正などを見ていると野党は引き続き攻めどころだとみていると思います。一方の政府与党は旧統一教会の被害者に対する救済法案の策定について、野党側とも協議を始めています。そういった意味では旧統一教会側への調査もこれから始まるわけですから、引き続きこの問題は岸田総理にとっては大きな“悩みの種”になり続けるのだと思います。

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後藤俊広
TBSテレビ 報道局政治部長

小泉純一郎内閣時から政治報道に携わる。郵政民営化を巡る自民党の小泉VS民営化反対派の闘いや自民→民主、民主→自民の2度の政権交代などを現場記者として取材する。趣味はプロ野球観戦で中日ドラゴンズの落合博満元監督を取り上げた「嫌われた監督」が座右の書

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