■円安いつまで続く…専門家の見通しと、日銀の責任は?
ホランキャスター:
円安は一体なぜ起きているのか、その背景について簡単にご説明します。
まず、日本とアメリカ、円とドル、その国の金利差が拡大しているというのもポイントなんですが、どういうことなのか簡単に言いますと、日本は大規模金融緩和をずっと続けています。消費、それからお金を借りるという観点で言いますと、金利を下げてお金を借りやすくしているという状況なわけです。
一方、アメリカはお金が市場に出回っているので、物価がどんどん上がっています。なので、金利を上げることによってお金を借りづらくする。そうすると市場に出回るお金が減ります。ですので、消費が抑えられ、物の値段を下げていこうかという動きに繋げたいということで、大幅な金利の利上げというのを行っているんです。ですので、利下げと利上げ、この金利差が拡大していくということが重要になってくるんですが、今のは消費の観点でした。
ただ、お金を運用するということになりますと、金利が低い円で運用するとそれほど利息がつかない。では利上げをしてより運用すると利息が付くドルで運用した方が得じゃないかということで、円ではなくドルを買って運用しようということで、円売りドル買いが加速しているという背景があるわけなんです。
立憲民主党の階衆院議員は「辞めて当然ですよね。物価は上がらないと言ったり、政府が円安を止めようとしているのに、日銀は円安を加速させる異次元の低金利をやっている」と追及。これに対して黒田総裁は、「量的・質的金融緩和が全く失敗したというのは事実に反する。辞めるつもりはありません」と述べました。
みずほリサーチ&テクノロジーズ首席エコノミストの酒井さんによりますと、「一時的に1ドル150円を突破するも、円安は年内まで続く。ただアメリカの景気後退に伴い、市場で将来の利下げが意識されてくると、徐々に円高に戻る可能性がある」ということです。
経済アナリストの森永康平さんは、「1ドルは160円台まで進む。円安は2023年の春先まで続く。日銀総裁が2023年春に交代後、金融緩和を解除した場合や、アメリカが利上げを停止すれば円安が止まる可能性もある」というふうに話しています。

井上キャスター:
円の価値が下がり続けると、日本の国としての価値も下がり続けてしまうと。では日本は何ができるのか、利上げしてしまうと景気が悪くなるかもしれないし、為替介入したけれども結局全体の流れは変えられないことを立証してしまった。となると日本にできることはなくてアメリカ次第なのかなという感じがしてしまいます。
秋元さん:
こういう状況だからこそ、一時的に補助金や減税などで最低限のところを担保しつつも、投資を止めないようにしていかないと、やはりどんどん大きいチャレンジができるような状態にしていかないと、この状況自体が変わらないので。そこを止めないようにというのはすごく意識したいなっていうのは感じますね。
井上キャスター:
海外から労働者はもう日本を選ばないようになってきたというふうに話していましたが、今度は企業側がもう日本よりも海外に出ていこうっていう、そういうことにもなるわけですか。
秋元さん:
海外にビジネスチャンスをっていう動きはどうしても出てきますし、もちろん優秀な人材もどうしても海外にっていうふうになってしまうので。そもそも労働人口が減っていく中で、優秀な人材も海外に行ってしまうと、それこそ取れるオプションが減ってしまうので。投資をするんだったら今というか、この状況だからこそしっかり投資を止めずに、成長企業だったり今スタートアップ支援とかもすごく盛んですが、そういったところをやっていただきたいなと感じます。