想像力をたくましく

2017年に大規模な土砂災害を経験した日田市小野地区。被災した集落では、警戒レベル3の高齢者等避難になったら全員で避難するという確実に命を守る防災に取り組んでいました。しかし、時の移ろいや避難の負担から全員避難のシステムはなくなってしまいました。

地元住民の伊藤元裕さん:
「災害の怖さをみんなで共有していたけど、1人ずつそういう意識が遠のいている。避難所に実際行かない人が出てくると『もうこの制度もいいんじゃないか』と。避難にまさる手段は絶対ないと、誰が考えてもわかっているけど…」

わかっていても実行に移せない人も多い避難行動。妻を失った小森さんは、災害の犠牲者を減らすためには、誰にでも命の危険に直面するかもしれない想像力が重要だと訴えます。

小森満雄さん:
「想像力をたくましくすることだよね。想像力がないと遅れる。やっぱり情報の大切さ、繰り返し繰り返し教えないと頭に入らない。一度や二度聞いてもダメ」

時の経過とともに確実に風化していく災害の記憶。助かるはずの命が失われるという悲劇を繰り返さないため、被災地の教訓を伝え続けるしかありません。