10時間超の会見で露呈した“カバナンス機能不全” 事案を1年半経営陣で共有せず
スポンサー離れなどの事態を重く見たフジテレビは1月27日、当時の嘉納修治会長と港浩一社長が辞任。映像撮影に制限を設けず、オープンな形でやり直しの会見を行いました。10時間以上に及んだ会見で浮き彫りとなったのは、フジテレビのガバナンス=企業統治の深刻な欠陥です。

そもそもフジテレビは2023年6月、中居正広氏と女性のトラブルが発生した直後に事案を把握。7月には中居氏側からも会社に報告があったとし、8月には当時の港浩一社長が事態を認識していました。
しかし、フジテレビはその後も、中居氏が出演する番組「まつもtoなかい」を継続、2024年1月に松本人志氏が芸能活動を休止した後も、「だれかtoなかい」に番組名を変更し、放送を続けてきました。
この間、コンプライアンス部門のトップであったフジテレビの遠藤龍之介副会長(当時)に事態は共有されず、嘉納修治会長(当時)や親会社のフジ・メディアHDの金光修社長らが事態を認識したのは、2024年12月の週刊誌報道を受けてだったとしています。
会見で記者から、被害女性のプライベートな領域であることを盾に、情報隠蔽していたのではないかとただされると…
フジテレビ 港浩一社長(当時・1月27日)
「守りたいとか、隠したいとかいう気持ちはありませんでした。フジテレビの社員が関与しているのではないかという可能性を知ったのは去年の夏以降ですから、そういう要素が入る余地はありませんでした。そして、女性の心身の状態を最優先で考えなきゃいけないタイミング、時期というのも本当にありました。何が刺激になるのか分からない、そういう中で、番組の終了まで時間がかかってしまったということはとても反省しています。人権に関する意識が不足していたと思いますし、結果的に社内でガバナンスが効かなかったということも大変大きな問題だったと考えています」
また、港社長(当時)は会見で、中居氏に対して適切な検証を行わず、番組出演を継続してしまったことに加え、タレントや関係者との会食のあり方などについても検証できていなかったとし、陳謝しました。
一方、社内調査の結果、中居氏と女性のトラブルにフジテレビの社員は関与していないと判断したと説明しました。
中居氏と女性のトラブルをめぐって、週刊文春は2024年12月、トラブルが発生した会食に女性を誘ったのはフジテレビ社員だとしていましたが、1月28日に「女性は中居さんに誘われた」と記事の一部を訂正したことを明らかにしています。
これに関して、フジテレビと親会社のフジ・メディアHDは独立した第三者委員会を設置し、事実関係や会社の判断、対応が適切だったのかなどについて調査を委ねています。
第三者委員会の調査報告書は3月31日に公表されますが、トラブルに社員が関与していたかどうかの事実関係や1年半にわたって経営陣で事態が共有されなかったことなどについて、どのように言及するのかが焦点の一つになります。














