石田校長が続ける“心のサプリ”
石田校長が毎日続けていたのが「心のサプリ」でした。
「たった一言が人の心を傷つけるたった一言が人の心を温める」
「大切なのは前向きに楽しむこと」
心のサプリは、児童が登校する日には毎日張り出されます。子どもたちの気持ちに寄り添った前向きになれることばを書きつづけています。その数は椿西小学校で過ごした4年間でおよそ1000枚を数えます。

石田校長
「ほんとに前向きな、ポジティブなことばがたくさん児童から出てきているんですよ。毎日書き続けてよかったかなと思ってます」
石田校長はさまざまな学校での勤務を経て、子どもたちのことばの力が少しずつ弱くなっていくのを感じていました。相手の気持ちをくみ取れない、気持ちを表現できない、そう感じたことが「心のサプリ」を始めるきっかけとなりました。
石田校長
「いろんな美しいことばとか、思いやりのあることばとか、昔からのいろんな大切なことばを知らないなと思ってましたので、校長として何ができるかなってじーっと考えて」
人生の基礎をつくる小学校の6年間、このときにこそことばの大切さを教えることが自分の役割だと考えています。
石田校長
「ことばを大事にしないとこどもは、子どもっていうか人は成長しないし、ひと皮むけないというか、また自分を見つめられないんじゃないかと思ってます」

19日、石田校長は校長として最後の卒業式に臨みました。卒業証書の児童の名前も心を込めて書きました。そして、卒業生にとって最後の「心のサプリ」を贈りました。

「夢と希望夢をかなえる原動力は本気の情熱です」
卒業生たちが迎える激動の時代を力強く進んでほしいとの思いでした。
卒業生声を合わせて
「出会ったこと、笑ったことこのすべてにありがとう」
式を終え教室に戻った卒業生には最後の「心のサプリが」配られました。
卒業生
「最後の『心のサプリ』がとても心に残ったので、あのことばを忘れずに中学校に行きたいです」
修了式を翌日に控えた25日、登校する児童らを見守る石田校長の姿がありました。毎日、地域のボランティアとともに通学路に立ちます。1人でも多くの児童に声をかけ言葉を交わすことを一日の始まりとしています。

石田校長
「4年間黄色いジャンパーの見守り隊のおじちゃん・おばちゃんと、毎日子どもを送って話して、きょうもたくさん話をしてお別れします」
萩が生んだ幕末の思想家吉田松陰のことばを児童らは毎日声に出します。石田校長が、ある場所に案内してくれました。幕末の歴史を語る「涙松跡」です。
石田校長
「松陰先生が江戸送りにされたとき、ここが、最後の萩に別れた地なんです。なんかここで春を感じて最後を迎えるって、幸せだったなって思っています」
この日、離任式で児童や同僚に残す心のサプリを書くため石田校長は筆を執りました。これまでであった児童たちの心に自分の心に向き合ってひと筆ひと筆、心を込めて書きました。