山口県萩市の小学校に、1日1枚子どもたちの心に寄り添うことばを書き続ける校長先生がいます。書道家でもある校長先生が「心のサプリ」として書き続けてきたことばは子どもたちをどう変えたのか。定年を迎え28日、校長としての最後の日を取材しました。

子どもたちに見送られながら会場をあとにするのは、椿西小学校の石田恭二校長です。39年の教師生活にきょう別れを告げました。

穏やかな中にも真剣なまなざしを筆先に向けています。書いている文字は「感謝」卒業を前にした6年生が最後の思いを込めました。
萩市立椿西小学校 石田恭二校長
「これを2:1に書くとうまく書けます・・・」
指導をするのは校長先生です。この日は6年生にとって書道の最後の授業でした。
石田校長
「親とか先生とか友達とか、そういう人にありがとうっていうのを、もう一回自分の中に落とし込んで、それを文字で表現する。それに画数が多いじゃないですか。難しいですよね、それだからこそゆっくり書ける、心をこめて書けるっていうのであえてこの字を持ってきました」
書道家で師範の免許を持つ石田校長は文字を通して、ことばを通して児童らと向き合ってきました。「感謝」は毎年、6年生の最後の授業で課題として選んでいます。
石田校長
「みんなと2年間、一緒に習字をしてきたんですけどどうでした?楽しかった?」
最後となったのは、児童だけではありませんでした。去年、石田校長は60歳の定年でしたが1年延長今年が現役最後となります。石田校長にとってもこれが最後の授業でした。
児童
「習字だけじゃなくて、人とのかかわり方とか。中学校に行っても役立つことばっかりで、校長先生が私たちが6年生の校長先生でよかったなと思いました」