トランプ関税 交渉のカギは?

トランプ関税の最新情勢について、ワシントン支局の涌井記者に聞いた。

――品目別と国別の相互関税、両方やるのか。

ワシントン支局 涌井文晶記者:
4月2日に国ごとの相互関税、自動車、半導体などの品目別関税を両方発表する予定で今動いている。相互関税については具体的な課税方法、どういうものになるかというのが焦点。現在有力とされている案が、国ごとに一つ税率を課すというアイディア。日本は何%、韓国は何%というような形になると見られる。元々ナバロ大統領上級顧問が話していたアイディアでこんなことを実現できるのかという疑問も出ていたが、今週ベッセント財務長官も「4月2日に各国はその国の関税率を表す数字を受け取る。国によって高かったり低かったりするだろう」と話しており、実現の方向で動いている。

この税率の設定に当たっては、平均の関税率の他、規制などいわゆる非関税障壁、さらには消費税も考慮されると見られている。一方、品目別の関税は自動車や半導体などが対象になる方向で、税率は25%程度と見られている。これが相互関税と完全に別の枠組みか、関連してくるのかなどの詳細はわかっていない。

――発動された後、交渉のポイントはどこか。

ワシントン支局 涌井文晶記者:
トランプ大統領は、相互関税も品目別の関税も例外を設けないと繰り返し強調しているので、発動前に例外にしてもらうのは難しい。日本は、関税が発動された後に例外措置を求めて交渉するということになりそうだが、その中では、トランプ氏が関税を通じて何を実現したいのか、関税以外の方法でも実現できるのかを特定する必要がある。この間トランプ氏は関税を通じて国内の産業を復活させて雇用を増やすこと、貿易赤字を減らすこと、さらに歳入を増やすことができると説明している。

しかし関税を上げても、思い通りに雇用が増えなかったり、物価が上がったりとアメリカが行き詰ったときに、日本側から別の方法が取れるということを提案できれば、引き換えに関税の除外措置を得る可能性もある。ただ、トランプ大統領は「株価は気にしない」「短期的な景気減速は気にしない」という姿勢を貫いているので、交渉に臨むにあたっては長期戦を覚悟する必要がありそうだ。