日米の金融政策にも影響 世界で高まる「不確実性」

日本銀行 植田和男総裁:
アメリカや海外の貿易政策、その他の政策の不確実性が高い中で簡単に判断ができない。4月にならないとわからない。あるいはその後もいろいろ不確実性が続く。我が国の経済物価を巡る不確実性は引き続き高く…
会見で何度も「不確実性」と口にする日本銀行の植田総裁。トランプ政権の関税政策が経済に及ぼす影響を見極めたいとして、政策金利を現在の0.5%のまま据え置くことを決めた。一方、国内の経済の現状についてはこう述べている。
日本銀行 植田和男総裁:
賃金と物価はオントラック(想定通り)でやや賃金は強めくらい。
経済と物価はおおむね見通しどおりに進んでいるとして、今後、アメリカや他の国の経済とのバランスをみながら、追加利上げのタイミングを模索する考えを示した。

植田総裁が強めに出ていると評価とした賃上げについて、連合は3月21日、春闘の2回目の集計を発表した。平均の賃上げ率は5.40%で1回目に続き2回目も去年2024年の数字を上回っている。
アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)も、3月19日に金融政策を決める会合を開き、現在、4.5%を上限としている政策金利を2会合連続で据え置く決定をした。

FRB パウエル議長:
経済の予測は常にとても難しいものだが、現在の状況は不確実性がきわめて高い。あまりに不確実性が高い点がもう1つの要因だ。
FRBのパウエル議長も会見で日銀の植田総裁と同じように「不確実性」という言葉を繰り返した。今後の金融政策については、年内に0.25%の利下げを2回行うという見通しを示している。さらに、トランプ関税について、パウエル議長は…
FRB パウエル議長:
今年最初の2か月で物価はかなり上がったとみんな感じていると思うが、確実な答えはその一部が明らかに関税の影響だということだ。

そして、公表した今後の経済見通しでは、今年2025年10月から12月の物価上昇率を引き上げた。その一方で、経済成長率は引き下げられている。
FRBの金利据え置きに対し、トランプ大統領は、SNSに「FRBは利下げをする方がずっといい」と書き込み、政策金利を引き下げるべきだとの考えを改めて示した。トランプ関税による世界経済の不確実性で日本をはじめ、世界各国が難しいかじ取りを迫られている。