津波を伴わない可能性も

津波については、49地震のうち34例で確認されていることがわかった(小さな津波を含む)。全体の約7割に相当する。

しかし、2003年5月26日の宮城県沖を震源とする地震(Mw7.0)や1993年1月15日の「平成5年(1993年)釧路沖地震」(Mw7.6)では、震源が深かったことなどから、津波は観測されていない。

先発地震では、強い揺れと同様、津波も必ずあるとは限らない点は押さえておきたい。

注意すべきは後発「巨大」地震だけなのか

そもそも注意情報は、地震の規模でいえば先発地震よりも後発地震の方が大きい「前震-本震型」を念頭に、先発地震の発生によって後発巨大地震の発生可能性が平時よりも相対的に高まっていることを知らせ注意を促す情報だ。

しかし表-1からは、先発地震の方が後発地震よりも大きい「本震-余震型」ではあるものの、先発地震の発生後、比較的短時間・短期間でMw7.0以上の地震が続けて発生したケースが8例確認できた(図-10)。

図-10 短時間・短期間でMw7.0以上が相次ぎ発生した8例

はたして注意情報は、後発地震として先発地震よりも大きな「Mw8クラス以上の大規模地震」のみに目を向けさせるだけで良いのだろうか。

「北海道・三陸沖後発地震」の想定震源域とその周辺では、過去にMw7以上の地震発生後、立て続けに再びMw7以上の地震が繰り返し起きてきた。

そうした事実を、地域的な特徴や傾向を、地元の住民にもっと知ってもらう必要性を感じる。

そうでなければ、防災情報の発信・伝達としては不十分ではないだろうか。