必勝リレーに命運を託した天理

 さらに6回表、2アウトながら2塁のピンチを招くと、バッターボックスには再び鳴海選手。ここで天理ベンチが動きます。下坊投手から伊藤投手にスイッチ。これまでチームを支えてきた必勝リレーに命運を託します。「ここは絶対に抑えるという強い気持ちではいった」という伊藤投手。しかし、その気持ちが力みにつながってしまいました。コントロールが定まらず、まさかの4連続フォアボールで、さらに2点を失ってしまいました。

 9回にも1点を奪われて5対1と差を拡げられた天理。それでもあきらめずに食い下がります。その裏、2アウトながら満塁と、ホームランが出れば同点の場面をつくります。ここでバッターボックスには下坊選手。「(次の打者の伊藤選手に)つなごうという気持ちで入った。とらえた思った打席だったが…」と語った打球は、ライトが好捕してゲームセット。天理は勝利への執念を見せるも、おととしの95回大会の王者・山梨学院の前に、力及ばず1回戦で姿を消しました。

 「甲子園に来るだけでなく、もっともっとレベルアップして、夏は甲子園で勝つ姿を(これまでお世話になった方々に)見てもらいたい」と語った下坊大陸選手。このあとの進化に期待です。

【東洋大姫路vs壱岐】初回から流れをつかんだ壱岐が優勝候補に襲い掛かる

 続く第3試合は、エース阪下漣投手を中心に見事な戦いぶりで近畿大会を制して久しぶりのセンバツ出場を手にした兵庫の東洋大姫路と、21世紀枠として甲子園初出場を果たした壱岐(長崎)の対戦。13日に行われた甲子園練習の中で、東洋大姫路・渡辺拓雲主将が「相手の応援団や姫路の方々も含めて、すごい雰囲気になると思う」と話していたとおり、注目の一戦には超満員の観衆が来場。一球一球に球場全体がどよめく、すさまじい雰囲気の中での試合になります。

 大観衆が見つめる中、先に流れをつかんだのは壱岐。アルプススタンドを埋めつくした応援団を背に、ハツラツとした動きを見せます。1回裏、制球に苦しむ阪下投手から、2アウト2塁、3塁のチャンスをつくると、5番・山口廉斗選手がライト前へタイムリーヒット。優勝候補から2点のリードを奪います。前日からひじの違和感があり、思うような投球ができなかったという阪下投手は、この1回でマウンドを降りました。