公職選拳法に詳しい専門家が指摘“罪に該当する恐れ”

選挙に関する動画を報酬をもらって作成した場合、法律違反になる可能性はあるのか。公職選拳法に詳しい専門家に聞いた。
日本大学 法学部 安野修右 専任講師
「公職選挙法の221条に定めがあります、買収等の罪に当たるだろうと思います」
山本恵里伽キャスター
「選挙運動という目的ではなく、単純にお金が稼げるという目的であっても、公選法に触れる可能性があるということ?」
日本大学 法学部 安野修右 専任講師
「そうですね。作成された動画の内容が、清き1票を対象者に与えるような効力を持つときには、221条の罪に相当するのではないかなと思う」

公職選挙法の221条に定められている『買収及び利害誘導罪』。
仕事を依頼した側と、受けた側の両方がこの罪に該当する恐れがあるという。
番組は、兵庫県知事選などに関連し、立花氏の動画作成を依頼したクライアントに公選法違反ではないか取材したが、回答は得られなかった。

一方で、この仕事を仲介したクラウドワークス。
選挙活動に関する依頼はガイドラインで禁止している。
番組が選挙の動画作成などを依頼したクライアントが候補者や政治団体と関連はなかったのか、取材すると…
クラウドワークスからの回答
「個人情報を特定できるような回答は控えさせていただきます」

クラウドワークスは仕事の募集文章やメッセージの中で、誹謗中傷を行う指示がある場合は発注を差し止めているとしたが、作成された動画の内容を確認しているかについては明らかにしていない。
今の国会では、公職選挙法の見直しが大きな課題だ。
3月4日、衆議院は、他人を中傷したりする選挙ポスターを禁じた公職選挙法の改正案を可決。
一方、SNSで偽情報が拡散している状況への対応については付則にとどまり、具体策を与野党で検討するとした。
日本大学 法学部 安野修右 専任講師
「(改正案の内容は)何もかも足りないというのが率直な受け止め。例えば当選の無効とか取り消しを争うような裁判所の設置、それに関する迅速な司法の手続きが必要だと思う」
山本キャスター
「(仕事を仲介する)事業者側を禁止する罰則を科すことはできない?」

日本大学 法学部 安野修右 専任講師
「立法技術的には可能ではないかなと思うんですけど、今回のような問題になるのは初めてなんですよね。
そういう意味で言えば、いわゆるオールドメディアといわれるものには色々制限規定があるので、そこと同等の倫理基準をプラットフォーム側とか、事業所側に持たせるような法改正は必要と思います」

山本キャスター:
クラウドワークスは「報道特集」の取材を受け、14日の夜、ガイドラインを改訂しました。
選挙運動や政治活動に関連する依頼、名誉棄損・侮辱にあたる恐れのある依頼、切り抜きなど許諾なく二次利用する依頼、などをさらに禁止するということです。
これが公職選挙法に抵触したり、誹謗中傷を助長したりする仕事の依頼を無くす効果があるのか検証が必要です。