激しいおう吐や下痢などの症状があらわれる感染性胃腸炎が急増しています。
いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長によると、「3月になってもまだ増え続けているのはパターンとして異例」。
中でも猛威を振るうノロウイルスについて、感染経路や予防策を専門家に聞きます。

過去10年で最多 「感染性胃腸炎」全国で流行

感染性胃腸炎の患者数は例年2月頃から減少しますが、今シーズンのグラフを見ると増え続けており、この時期としては過去10年で最多に。
2月17日〜23日の1週間では、1医療機関あたり10.32人となっています。

ーー医療現場では多い印象ですか?
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
かなり多いですね。先週の後半から週末にかけては我々のクリニックでも最多でしたね。点滴する場所がないぐらい、あちらこちらでおう吐・下痢・腹痛という感じで救急搬送も出ましたし、逼迫という状況でした。

医療機関の1か所あたりの感染者数の平均を見ても、全ての都道府県で前の週よりも感染者数が増加している状況です。
警報が出ているのは大分、徳島、岐阜、富山、群馬。神奈川でも注意報が出ています。

原因の多くが「ノロウイルス」

感染性胃腸炎の原因となる主な病原体としては
▼ウイルス(ノロウイルスやロタウイルスなど)
▼細菌(病原性大腸菌やサルモネラなど)
▼寄生虫
などがありますが、東邦大学の小林寅喆教授によると、
ウイルスによる感染性胃腸炎のうちノロウイルスが原因となるものが約7割~8割を占めています。

ノロウイルスは、感染してから発症するまで24時間~48時間。
主な症状には吐き気、おう吐、腹痛・下痢、軽い発熱などがあります。
持病のある人、乳幼児、高齢者などは脱水症状を起こしたり、症状が重くなったりするケースもあります。

伊藤博道院長:
まだお薬が飲める段階で受診していただけると、お薬が有効に効いてくると思うんですけど、薬も水も飲めない状態になると点滴が必要になりますし、重症になって脱水でさらに悪循環になってきますから、受診のタイミングが大事だと思います。

小林教授は、その感染力の強さを指摘します。

東邦大学感染制御学 小林寅喆教授:
実際に感染して細胞の中でウイルスが増えて、出て行くときは億単位で出ていきます。
入るときは10個とかそういう単位で実際に感染が起こってしまう。
すなわち「出るときは多くて入るのは少ない」ので非常に感染力が強いと言われています。