なぜいま逮捕?背景にはマルコス大統領との確執
2018年にICCの予備調査が始まってから7年。“麻薬戦争”をめぐりドゥテルテ氏の逮捕に至った背景には、現職のマルコス大統領との確執がある。

そもそも、2022年の大統領選挙で両者は蜜月ぶりをアピールしていた。マルコス元大統領の長男フェルディナンド・マルコス・ジュニア氏が大統領に、ドゥテルテ前大統領の長女サラ・ドゥテルテ氏が副大統領となった。
しかし、マルコス大統領は中国寄りとされたドゥテルテ政権から外交路線を転換し、アメリカとの関係強化に舵を切った。こうした政策の違いなどにより、両氏の亀裂は徐々に広がり、2028年の大統領選挙を見据えた今年5月の中間選挙を前に、両家の主導権争いは激化している。
一部の現地メディアは、マルコス政権が“麻薬戦争”を攻撃材料に、ICCを利用してドゥテルテ氏への圧力を強め、その影響力を弱めようとしていると指摘した。マルコス大統領は、2019年に脱退したICCに再加盟する意思はないとしていたが、去年11月、ICCがICPO(国際刑事警察機構)を通じてドゥテルテ氏の逮捕を要請した場合、フィリピン政府として協力する姿勢を示していた。