ようやく目にした自宅。わずかな物が残されていました。

自宅が全焼 東川今さん(27)
「元々はここが玄関で、入ってすぐ階段が見えてて。(Q.みなさんの思い出の場所は)茶の間じゃないですか。くだらないこと話しながら、迷惑だろうと思いながら笑ってましたね」

「メジャー?茶の間の引き出しに入ってたやつかな」
「ご飯食べ終わったあとに猫が来たり、そんな時間が幸せでした。今までここに来てなかったので、まだ実感はわいてなかった。

いざ目の前にすると、もうこの家には帰れないんだなと思って」

先月26日に発生した岩手県大船渡市の山火事。焼失面積は日に日に拡大し、今月5日にはおよそ2900ヘクタールにまで広がりました。7日に一部の地域で避難指示が解除され、9日、鎮圧宣言が出されました。そして10日…。

防災無線
「避難指示をすべて解除します」

「荷物積み込もうと思って。(Q.避難生活どうでした)まず食べるもの十分だったけど、寒かった。うちがどうなってるか不安なの。うちのそばまで火きてたから」

空からしか見ることができなかった山火事の被害。現場にカメラが入りました。

喜入友浩キャスター
「ようやく避難指示が解除された綾里の港地区です。多くの建物に被害が出ました。こちらも骨組みだけになっています。そして、道路を隔てた反対側の車も熱でただれてしまっています」

今回の山火事で90代の男性1人が死亡。住宅や空き家、作業場などを含む210棟が被害を受けました。全壊した住宅は76棟にのぼります。

ここで生まれ育った東川さん。山火事が発生したときは仕事中だったため、大事なものを持ち出すこともできませんでした。

自宅が全焼 東川今さん
「何が一番取り返しつかないかなと思ったときに、写真もそうだけど、高校生の卒業アルバムあったんですよ。友達からメッセージ書いてもらっていて、それを読み返せないのが一番、なくした時に大切だったなって思った」

母・由香さん(46)
「津波という覚悟はあるけど、山火事という覚悟はない」
東川今さん
「全くなかった。まさか火が来るとは思わなかった」

東川今さん
「不安だし、悔しい思いもあるけど、前を向いていかなきゃいけないし。これは新しく家を建てろってことなんだと、みんなで話して。頑張って建てようねって思っている」

応急仮設住宅の建設に向けて、県と調整を進めている大船渡市。14日には、り災証明書の申請受け付けを開始するということです。