長引くコメの高騰への“切り札”となるのでしょうか?農林水産省が、備蓄米の放出に向けて入札を開始しました。この先、価格はどの程度、落ち着くのか。期待と不安の声が聞かれています。

コメの高騰続く「去年から値段が倍に…」

都内のカレー専門店。炊き立てのふっくらとしたご飯に、豊富なスパイスと具材が溶け合った、インド風の“王道カレー”が評判のお店です。


「めっちゃうまいです。味濃いめなので、ごはんがどんどん進む」

このところ、店側が頭を悩ませているのがコメの値上がりです。

カリーライス専門店エチオピア 中西康成さん
「(コメが)2024年と比べても倍ぐらい値段も上がっている。お店的にも結構厳しい状態」

コシヒカリの小売価格は2024年の5月ごろまで、5キロあたり2400円程度で推移していましたが、コメ不足が深刻化した夏ごろには3000円台に。2025年2月には4300円を超える価格にまで上昇しました。

こちらのお店では2024年12月に一部のメニューで60円ほど値上げを実施。コメの高騰が続いた場合、 さらなる値上げも検討しなければならないといいます。

中西康成さん
「(コメの価格が)安定して欲しいなとは思う。欲を言えば去年(の春)ぐらいには下がって欲しい」

長引くコメ価格の高騰を受け、農水省は「備蓄米」を市場に放出する方針を決定。3月10日、放出に向けた入札が始まりました。

対象となるのは宮城県産の「ひとめぼれ」などの41銘柄で、初回の入札では放出が計画されている21万トンのうち、15万トンが売り渡される予定です。

店頭に並ぶのは、早くても3月下旬ごろになるとみられていますが、街の人からは…

息子・小学4年生(10)
Q.コメ好き
「好き。おかわりする、絶対に一回は」

母・主婦(40)
「子どもたちも食べ盛りなので、減らせないので買うしかない。(備蓄米の放出に)とても期待している。それで(価格が)下がってくれれば助かる」

主婦(50)
「(価格)変わるのかなって。実感的に『安くなったな』と分かるまで時間がかかるんじゃないかと。特に期待していない」

通常、農家が出荷したコメはJAなどの集荷業者に集められ、卸売業者やスーパーなどの小売りを経て消費者に届きます。

ただ、今回のケースでは転売を目的とした新たな業者が参入したことで、集荷業者にコメが集らず、21万トンものコメが“行方不明”に。価格が高止まりする一因ともみられ、 備蓄米放出の発表とともに業者がこのコメを手放すのではないかと期待されていました。

しかし、販売店では…

米マイスター麹町 福士修三代表取締役
「現時点では高値に張り付いたまま。一時『備蓄米の放出』というアナウンスがあった時に、60キロの玄米が数百円下がったが、また前(の価格)に戻った」

備蓄米の放出が決まった後も、コメの価格は下がらないまま。生産者からはこんな声も聞かれるといいます。

福士修三さん
「(生産者からは)『例年よりとれていない』という回答が多い。肌感ですと、全然増えていない。ですから、このような状況になっている」

今後のコメの価格について、専門家は…

新潟大学農学部 伊藤亮司助教
「21万トンがそれなりに市場に出れば、その時の瞬間的な効果にはなるかもしれない。日本のコメ消費量が1年間で約700万トン。場合によっては10日で食べきってしまう。以前の2000円台とか1980円みたいな、世界を目指した放出ではない」

備蓄米はコメ高騰の“切り札”となりえるのか?江藤農水大臣は…

江藤拓 農水大臣
「21万トン出した以上は、政策効果がなければさらに追加する。しっかり流通のスタック(停滞)を解消して、消費者の苦労を解消できるように努力したい」