津波対策の堤防が台風の被害を拡大したケースも

重政さんを迎えたのは、能登を支援してきた岩手の人たち。その中の一人、花巻市出身の高橋博之さんは東日本大震災を経験し、全国の被災地に足を運び、能登にも何度も支援に入っている。

重政さんは能登への支援を通じて高橋さんと知り合い、交流を重ねてきた。

重政さん
「私、何も東北に対してしてこなかった。募金箱にちょっと入れるぐらいしかしてこなかったのに、すごくたくさん支援ばっかりいただいて、こんなもらい続けていいのかなと思うぐらい。これから僕らは次のステップに向かっていくにあたって、またいろいろと教えていただければ嬉しいです」

翌日、重政さんは高橋さんらと共に、津波の被害を受けた沿岸部へ。その後、各地に高い防潮堤が建設された。

山田町・田の浜地区は海から距離はあるが、震災時にはこの地区の住宅地まで津波が到達したという。

そこで、津波対策として海側の防潮堤に加え、さらに住宅側にも堤防が整備された。

山田町で建設会社経営 佐々克考さん
「次の備えとして造ったんですよ。津波にはもう万全だと言っていたんですが、後ろから台風でやられちゃった」

2019年の台風19号では、その堤防が山からの雨水や土砂をせき止め、被害が拡大した。

地震と豪雨の被害に遭った重政さんも、自然のリスクを実感していた。

重政さん
「いろいろ総合的に考えないと。でも、どこかで自然と付き合うしかない」

高橋さん
「二面性と付き合うしかない。リスクゼロにはできない」